第59話 気の利く幼女の気になる提案
アンの野外趣味に呆れた誠の背後に再び人の気配を感じて振り返るとそこにはちょこんと何時のも羽織袴が通勤着と言うどう見ても幼女がする格好とは思えない姿のランが立っていた。
「まあ、今日は仕方がねーが……明日からはちゃんと詰め所で仕事をしてくれよ」
入ってきたとたんにいつものように烈火のごとく怒られるとばかり思って身構えていた誠にランはそう言うと笑顔を浮かべてそう話しかけてきた。
「なんですか?クバルカ中佐。今日は怒らないんですね」
誠は拍子抜けしてそのまま珍しい客に唖然としているひよことアンをすり抜けて誠の隣の丸椅子に腰かけた。
「なあに、部下の気持ちも理解するのが管理職の仕事だ。あの二人……西園寺と日野。個人的な事情、しかもオメーのせいじゃないのに原因はオメー。居づらい気持ちは分からねーでもねー。それに……今日、帰りはどーするんだ?それと今日、寮に帰るつもりか?」
ランは親身になって誠に向けてそう語りかけてくる。
「確かにそうなんですよね。朝はかえでさんの車出来ましたけどあの西園寺さんの様子……これで帰りもかえでさんの車で帰るなんて言ったら本当に射殺されますよ。それと寮に帰ったら帰ったで食堂には西園寺さんが待っててそれを弄るべくアメリアさんが茶々を入れてくる。そして深夜にはリンさんが……正直今の寮は僕にとっては地獄ですよ」
誠は正直な気持ちを優しい幼女であるランに向けて吐露した。
「でも、あそこの家賃は魅力的なんですけど……というか日野隊長がオーナーになってからあそこって家賃ゼロ、食費ゼロなんですよね?僕は月管理費込みで4万5千円のワンルームに住んでるんですが、彼と相談して同棲して引っ越ししようかとか考えているんです」
何気なく物故んでくるアンのボーイズラブ同棲宣言に目が点になる誠だがひよこもランも特に気にする様子もなくその言葉になずいていた。
「そこでだ、今日は……実はアタシのお世話になっている御仁がそろそろアタシが目をかけている新兵に会いたいとか言ってきたんだ。アタシも良いころ合いだと思ってる。いきなりあの御仁にオメーを会わせてもよかったんだが、隊長が『それだけはやめてくれ』と言うから控えてきたんだが……オメーもうちに来て半年だ。アタシの目に狂いが無ければあの御仁を世間の馬鹿みたいに偏見の目で見たりすることはねーだろー。今日はアタシが世話になってる御仁の家に泊れ。そこで頭を冷やせば気分も変わる。西園寺も日野もオメーが居ないとなれば喧嘩の原因が一日以内と言うことで自分を見つめ直すことくらい出来るだろ?アイツ等も……そしてオメーも大人だ。と言うわけで、アタシの車で帰るぞ」
ランはそう言うと誠の肩に優しく手をかけた。誠はその言葉に静かにうなずくとそのまま空気を呼んで立ち上がったアンと一緒に男子更衣室を目指した。




