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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 新年度の『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第十章 英雄と『男の娘』 

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第58話 意外な場所への意外な訪問客

 そんなひよこののろけ話を聞くのが限界に達しようとしていた誠を救うように医務室のドアが開いた。


「ああ、神前先輩。こんなところに居たんですね?怪我でもしたんですか?」


 そう言って医務室に入って来たのは機動部隊第一小隊の『男の娘』アン・ナン・パク軍曹だった。


「ああ、アン君。元気?」


 ひよこはさすがにここにきてこめかみを引く付かせて西への嫉妬に打ち震えている誠の心理状態が理解できてきたようで、誠から目を離すとアンに手を上げてあいさつした。


 誠はなぜアンが医務室を訪れたのか不思議に思いながら慣れた調子で誠の隣の丸椅子に座るアンを見つめていた。


「おい、アン。なんだかここに来慣れてるみたいだけど……よく来るのか?」


 西への嫉妬で頭がいっぱいの誠は震える言葉でアンに向けてそう言った。


「ええ、ひよこさんには化粧品の選び方とかかわいい服のチョイスとかでよく相談に乗ってもらってるんです。うちの運航部の女の子達は金遣いが荒いんで高い化粧品やブランド物の服とか平気で買うんですけど……ああ、アメリアさんは別ですよ。あの人は服装のセンスが根本的にどうかしてますから。でも、僕は目的がって貯金してるし、ひよこさんも弟さんの学費とかでお金にはあまり余裕がないんでそいう安くておしゃれなアイテムの情報交換が出来る人がこの隊にはあまりいなくって……」


 そう言って笑うアンは確かに完全に『男の娘』と言うかほとんど女子高生にしか見えないほど女性的な顔つきで誠を見つめてきた。


「そう言えば、隊に来た時はまだお前は男っぽいところがあったけど今はどう見ても女子高生にしか見えないもんな。その化粧とか、髪型とか、来ている服とか……全部ひよこちゃんから教わってたのか……」


 男であるアンが日々、完璧な『男の娘』と化している理由がこんなところにあったのかと誠は驚きながらアンを見つめていた。


「それで、アン君。彼氏とはうまく行ってるのかな?」


 ひよこはいかにも楽しそうにそう言って笑った。いかにも彼氏持ちの女子の余裕である。これを運航部の地球人の遺伝子を継ぎながら精神を『モテない宇宙人』である遼州人の国東和に適応させていった結果、立派な『モテない女子集団』と化した女達が目にしたら血を見ることになるだろうと思うながら誠は二人の様子を観察していた。


「はい、最近はホテルももったいないので公衆トイレとかで愛をはぐくんでいます」


「おい、アン。それは犯罪だ。うちは『武装警察』なんだ。そんな事で捕まるのはかえでさんだけにしてくれ」


 誠はアンの爆弾発言に上司として変態のかえでの下に居た期間が長かったアンが立派な変態になったという事実を理解していた。

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