↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 新年度の『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第九章 名君が貧乏なゆえん

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/144

第56話 どこへ行っても地獄な誠の唯一の逃げ場

「さっきから話を聞いていると隊長は『楽がしたい』と言うだけで僕とかえでさんを結婚させて、うちの女子達とかえでさんが『マリア・テレジア計画』で子供を産ませた女性達を僕に押し付けて逃げ出したいだけのような気がするんですけど……気のせいですか?」


 嵯峨のいかにもうまそうにタバコを吸う様を見ながら誠は上目がちに嵯峨の様子を伺った。


「え?今頃気付いたの?そうだよ。俺は面倒なことはしたくない。俺は基本的に『駄目人間』だもの。しかもプライドゼロ。だから嫌なことは絶対しない。これは西園寺家に養子に入ってある程度の自由を手に入れてからの俺の基本的な行動理論。確かに人間一人じゃ生きていけない様に今の世の中なっちゃってるから仕方なく偉い人の言うことは聞くけど、そんなの適当に誤魔化しとけばなんとかなるの。俺は優秀だからそのくらいのことは出来ちゃうんだ……凄いでしょ?」


 完全に開き直った態度でそう言う嵯峨を見て誠はこれ以上嵯峨と何を話しても無駄だと思ってソファーから立ち上がった。


「ああ、機動部隊の詰め所に帰るんだ……針の筵だねえ……それと気を紛らわせるためにハンガーの整備班で何でもお前さんの相談に乗ってくれそうな島田の所に行く……それも賢い選択じゃないね。島田はいいよ。アイツは本当に新味にお前さんの面倒を見る気満々だ。でもさあ、周りのアイツの部下達……お前さんがかえでから受けてる過剰接待を毎日見せびらかされてる訳だ。そいつ等の痛い視線を浴び続ける……かなめ坊とかえでの喧嘩に巻き込まれるのと野郎の嫉妬の視線で痛い思いするのとどっちがいい?」


 冷やかすような調子でそう言う嵯峨に誠は愕然とした。


「じゃあ、僕はどうすれば院ですか!あっちに行っても地獄!こっちに行っても地獄!じゃあ、運航部……あそこは嫌だ。僕のアレをかたどった女性用大人のおもちゃが転がってる部屋で、こういう時は一番会いたくないアメリアさんが部長をしているんですよ!アメリアさんの事だから隊長よりももっと滅茶苦茶で自分勝手な提案をしてきてあの人の事だから強引に実力行使に出るのは間違いないんだ!僕はどうすれば……」


 そう言ってその場でうずくまる誠に立ち上がった嵯峨はそっと誠の肩に手をやった。


「その為の白衣の天使だろうが。医務室に行け。あそこにはひよこしかいない。ひよこは西の彼女だと整備班の野郎共の諦めがついた今、あそこに夢を持って近づく整備班の童貞は居ない。まあ、終業時間までひよこのなんだかよく分からないポエムを延々と朗読させられることになるが……他の所に行ったらもっとひどい目に遭うぞ」


 嵯峨の忠告に救いを見出した誠は立ち上がるとそのまま無言で隊長室を飛び出していった。


「いいねえ、若いってのは。大いに悩みな……まあ、悩みってのは時間が解決してくれるもんだ。大人になるとそれも許されない……若さの特権って奴だよ」


 そう言って誠の背中を見送った嵯峨は安城からの報告書に目を通すべく隊長の机に脚を向けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。