第54話 皇帝、ハーレム、女の戦い
「まあ……お前さんがかえでを選んで、俺の後釜で皇帝になるなんて言い出したら……そりゃあ俺好みの面白そうな修羅場が見れそうだね。俺はそっちの方が楽しみ」
完全に他人事を気どって嵯峨はそう言って笑ってきた。
「そんな……確かに、確実に西園寺さんはキレますよ。あの人独占欲が強い『女王様』ですから。しかも今はかえでさんと喧嘩中……僕核実に射殺されるんじゃないですか?」
誠は自分の宣言を聞いて怒り狂いすぐさま銃を抜くかなめを想像して恐怖に震えた。
「へえ、最初にかなめ坊の名前が出て来るか……でもまああのリンがかなめ坊の射撃をお前さんのせいで使えるようになったばかりの干渉空間で無効化して平気でお前さんの部屋に夜這いに来るらしいじゃないの。お前さんの干渉空間の方がリンのそれより強力で、しかもその展開経験ははるかに上だ……なんとかなるんじゃない?」
もうすでにいうことを言って満足した嵯峨にとっては誠を取り巻く女達の嫉妬がもたらす誠への被害などは完全に他人事である。いかにも楽しそうにタバコに火をつける。
「そしてカウラさん。……あの人絶対グチグチ言いますよ。あの人あまりかえでさんの事は好きじゃないみたいですから。まず体形が……かえでさんの胸がカウラさんには気に食わないみたいですし。それに遼帝国にはパチンコ屋がないんでしょ?どうするんです?」
誠の不安は一人一人の女性の名前を挙げるたびに募っていく。
「ああ、パチンコ屋ね。しばらくはアイツの『ふさ』の娯楽室にある新台で我慢してもらうしかないんじゃないの?まあ、央都は遼帝国でも数少ない石炭発電所があって電気は通じるから。それで何とかなる。そんなの大した問題じゃない。まあ、あの二人が仲が悪くて何かというと張り合うのは俺が見てても分かるけどかえでほどの変態になろうと……するかもしれない。そうなると大変だね。お前さんの身体が心配だ」
嵯峨の言葉には全く心が籠っていないのは誠にもすぐわかった。
「あと、アメリアさん……遼帝国ってテレビもラジオも無いらしいじゃないですか?しかも娯楽らしい娯楽は旅芸人の一座が街を回ってるぐらいだって遼帝国生まれのラーナちゃんが言ってましたよ。そんな環境であの人が生きられますか?」
誠には多趣味の艦長であるアメリアの事が頭に浮かんだ。
「甲武もね、宇宙戦艦とか持ってるの。そこの通信機器……東和のテレビの放送は全部映る。だから、アイツを今の通り宇宙艦隊勤務にして戦艦の艦長にでも任命すればこれも解決。単純だろ?まあ、顔を合わせる機会が減るとかアメリアがぶつくさ言って来たらそこはそれお前さんのギネス級で何とかするしかない。そればっかりは俺もどうしようもない」
完全に他人事を気どる嵯峨の態度を見ていて誠は自然に腹が立ってくるのを感じていた。




