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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 新年度の『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第二章 『マリア・テレジア計画』の生み出した母子

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第5話 謎の母子とかえでの『マリア・テレジア計画』

「あの……男の子……違うわね、アレは女の子よ。誰かに似ているような……」


 アメリアは誠から見ると点にしか見えない親子連れを見ながらそう言った。


 この場に居るアメリアを始め、カウラ、パーラ、そして補欠でまったく試合の出場機会の無い島田の彼女のサラ・グリファン中尉は20年前に終わった『第二次遼州大戦』の敗戦国『ゲルパルト第四帝国』が生み出した戦闘用人造人間『ラスト・バタリオン』と呼ばれる存在だった。


 アーリア人の繁栄を目的に女性のみが製造された彼女達はその強化された身体能力と知能で戦争の勝利に貢献するはずだったが、その製造プラントの完成を前に『ゲルパルト第四帝国』の首都ネオベルリンは陥落し、隊では唯一試験施設内で目覚めたアメリア以外は製造プラントが接収された東和共和国で目覚めた東和国民だった。


 そのアメリアの強化された視力でも母子の細かい顔立ちまでは見えないようでぼんやりとたたずんでじっと誰かを待っているような親子連れを見つめていた。


「なんだよ、アメリア。試合中にそんなもん見てたのか?アタシ等は野球をする為にここに来たんだぞ……まったくただの金持ちの野球好きが珍しい暴投男の自滅ショーでも見に……げ!」


 アメリアの視線の先に目をやったかなめの表情が母子の姿を見た途端に青ざめていった。かなめはサイボーグなのでその目には狙撃に適したように望遠機能が内蔵されている。その機能を用いればはるか300mは離れている母子の細かい表情まで見ることは簡単だった。そのかなめの驚いた様子はかなめがその母子の正体を知っている何よりの証拠だと着替えを終えてバンを出た誠は思った。


「西園寺さん……お知合いですか?」


 驚いた顔から九に不機嫌そうな顔に戻ってタバコに火をつけたかなめに向って誠はそう言った。


「知合いねえ……オメエ等もいやでもこれからは知り合いにならざるを得ない人間とその娘……というかアタシの妹のクローンだ」


 吐き捨てるようにそう言うとかなめは不機嫌そうにタバコの煙を吐いた。


「つまりあれが日野の悪行の『マリア・テレジア計画』の犠牲者と言うわけか……その割には熱心に試合を見ていたようだが……それとなんでその日野の餌食になった人妻と日野のクローンと私達が知り合いになるんだ?まったく意味が分からないぞ」


 こちらも強化された視力で母子を見つめていたカウラがそう言ってタバコを吸うかなめに尋ねる。


「なあに、アイツは完全に寝取った人妻を洗脳して自分の言うことなら何でも聞くように仕立て上げたんだ……その最初の一人目……アイツが15の時に最初に寝取ったのがあの鷹司華子女侯爵だ」


 かなめは口にするのもはばかられるというように不機嫌そうにそう言うとカウラの車が置いてある裏の駐車場に向けて歩き出した。

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