第4話 壊れた試合と謎の応援客
試合は誠の予想通り、島田は持ち前のノーコンぶりを発揮して四死球の山を作っては連打を浴びるという展開になった。
ただし、人の良い島田がかなめに射殺されるのを黙ってみているほど『特殊な部隊』の面々は冷たくはないので、4回以降、急に球威の落ちた敵エースを攻めてアメリアの二塁打、誠の二塁打、そして五番に座るかなめが打つことだけを期待してレフトに入れている大野のホームランが続く。
さらにかえでは三塁打、カウラが手堅くセンター前にはじき返し、リンまでもがライト戦にポトリと落ちる三塁打で一点。そこでかなめが持ち前の『スクイズしないと死んじゃう病』を発揮してアンにスクイズのサインを出す。
こうして点の取り合いと化した試合は終わってみれば8対10というかなめの短気が無ければ勝てたのではないかと言う形で既定の七回を終えた。
「まったく今日の負け試合は姉さんのせいだね……」
そう言ってかえでは胸にたまった誠に週に一度振舞うミルク料理に使う自分の母乳を絞るためにリンとともに女子トイレに消えていった。
「なんだよ、乳牛女がでかい口叩きやがって……今日は運がなかった……神前、気にすんな。オメエのせいじゃねえんだ」
いつものように女子部員の着替えのバンに無理やり乗せられて着替えをさせられている誠に向けてかなめはそう言いながらユニフォームを脱いだ。
「確かにな。ただ、今日の試合の負けは……西園寺。貴様の采配ミスだ。あそこは島田ではなく私をマウンドに上げるべきだった。島田が一度ストライクが入らなくなったら終わりだということくらいの学習能力は貴様には無いのか?」
一足早く着替えを終えて春らしい爽やかな緑のワンピースに個性的なエメラルドグリーンのポニーテールをなびかせてカウラはそう言った。
「うるせえ!監督はアタシだ!アタシが捨てゲームと言ったら捨てゲームなんだ……ってアメリア……今日はなんだか妙におとなしいな……病気か?ああ、それはいつものことだな」
いつもの黒いタンクトップに茶色い愛銃スプリングフィールドXDM40にダメージジーンズと言うほとんど制服なのかと言ういつもの格好に戻ったかなめがいち早く着替えを済ませて、こちらも『私は宇宙人です』というまるで誠や島田のような遼州人が着るべきプリントがなされたド派手な赤いTシャツ姿のアメリアに声をかけた。
「いえね、こんな交通の便の悪いところにあんなに派手なスーツを着た女性と男の子が立っているのが不思議で……試合中もずっとそちらを見ていたのよ。かなめちゃんとかえでちゃんの喧嘩に巻き込まれるのはめんどうだから」
アメリアはそう言ってバックネット席にいる派手なワインレッドのスーツの女性と紺のいいとこの出の少年のような姿の親子連れを指さしてそう言った。




