第28話 帝位の器を持たない男達
「ああ、隊長の女好きですか?それは私も存じていますが……隊長は『俺のはかえでほどじゃないし、西モスレムのあの大嫌いな国王は100人妻がいると自慢している』というのがそのいいわけらしいですわよ。それに、私もあの西モスレムの国王のように自分の権威を示すために女性を利用するのとは違って隊長やかえで君はちゃんと愛した女には愛で応えることを本分としています。まあ、神前曹長は知らないでしょうが隊長には他にも何人か関係のある女性が居るのですが、隊長自身は『あと5人以上は無理』と言っていますから。それに隊長の父の霊帝はそれこそ後宮に7000人の女を囲って酒色にふける……いいえ、あれは後に霊帝を追放する機会を伺っていたガルシア・ゴンザレス元帥の勧めで覚せい剤をやっていたこともありますから。自分が何人の女性と付き合えるかの限界は知っていると思うんだけど」
さらりととんでもないことを言う鷹司に誠は呆れていた。
ただ、もし誠が『許婚』であるかえでと結婚した場合、かえでが望む誠の性生活は嵯峨のそれよりも過酷なものになると知らされていたので誠はただ沈黙していた。
「神前曹長……突然黙り込んでどうしたんです?私が言いたいのは、あなたは帝位に就くことができる。そう言う話です」
鷹司の言葉は聞こえていたが誠はまだ沈黙していた。
「そうですよね、普通に剣道場の息子だとして育てられてそれが実は皇帝になるべき家だったなんていきなり言われてはいそうですかと言う方がどうかしていますわ。ただ、あなたは帝位に就く権利はあるが……正直申し上げてその器ではない……冷たい言い方になりますがそう言わざるを得ないというのがかえで君から聞いた私の正直な印象です」
鷹司の言葉はいかにもエリート官僚らしく冷たくて正確だった。
誠自身も自分が突然一国のすべてを自由にしていいと言われたら一年も経たずにその国は滅ぶと思っている。実際の政治の世界はゲームで世界侵略することとはわけが違うことくらいはそのパワーゲームの末端に過ぎないこれまでの出動で死地を潜り抜けてきた誠には分かった。
「ただ、あなたはある人物の導きがあれば……そしてその人物を支える女達の支えがあれば帝位にふさわしい器を手に入れることができる。そうすれば安心して隊長は皇帝の地位を捨て去り、自分の思う道を生きることができる。あの人は正直危険すぎます……これ以上あの人に策謀の大地を生き続けて欲しいとは思いませんし、あの人もそのことを望んではいません。『俺は風俗街の貧乏弁護士の時代が一番幸せだった』。そんな言葉を二度ほど私も隊長から聞かされました」
そんな言葉を言いながら鷹司は覚悟を決めたような視線で誠を見つめた。




