第24話 意外な人と出会い意外な会話をする誠
「いいかしら、神前曹長」
ハンガーで売っている仕出し弁当と島田の『全自動温泉卵製造器』で作った温泉卵を持って機動部隊の詰め所に向ってい歩いていた誠を呼び止めたのは意外にも鷹司だった。
「ああ、鷹司部長……何でしょうか?」
見た目も行動も貴族と言う物から限りなく遠いかなめは別として、見た目は貴族だが最近収まって来たもののその性癖は変態そのものと言うかえでを目にしている誠には甲武貴族の典型のように見える鷹司の態度はどこか委縮して感じてしまうところがあった。
「ちょっとお話したいことがあってね……二人でお食事なんかどうかしら?」
くったくのない笑顔の年上の女性に声をかけられた誠は戸惑いながら鷹司に続いて誰もいない第四会議室に入った。
会議室の中でも四人ほどが座れるテーブルがあるだけの狭い部屋である。鷹司は誠をまるでここに誘導するつもりだったようで、まだひんやりとするはずの部屋には暖房が入っていた。
「どうぞ、おかけになって」
鷹司はそう言うと手にしていた小さなバッグからまるでランに似合いそうな小さな弁当箱を取り出した。
「小食なんですね、鷹司部長は。うちのクバルカ中佐はあんなにちっちゃいのにいつも隣の工場の幹部職員御用達の高級弁当のおっきいのを食べてもまだ足りないとか言ってますよ」
沈黙に耐えきれるほどの精神力の強さを持ち合わせていない誠はそんなことを言いながら鷹司の正面の椅子に腰かけた。
「ええ、食事はそれほどこだわらない質なもので……食事は中身よりも雰囲気……まあ、神前曹長くらいなら何より量が大事でしょうし、食通で味にこだわるクバルカ中佐には馬鹿にされるかもしれないけれど……うちの家政婦にもあまり負担をかけるわけにもいきませんから」
こう言った会話に『家政婦』とか言う言葉が出てくるあたりがいかにも貴族らしいとかえでの多数の使用人に囲まれて生活している誠はそんなことを考えながら弁当の蓋を開けた。
「私は結果を重視するタイプの人間です。かえで君から私とかえで君の関係は聞いてますわよね?」
誠はかえでの悪行、夫の居る若妻24人を寝取って自分のクローンを産ませた『マリア・テレジア計画』のことを鷹司が言っているらしいことに気付いて割り箸を手に持ちながらうなずいた。
「そう、私の心を奪うこともできず、伝統ある鷹司の血を一年以内に私に仕込むこともできなかったあの宿六に比べてかえで君はそれは魅力的な少年……いいえ、実際は少女だったんですけどね……だった。そして、かえで君の提案で私はかえで君自信を産むことを選んだ……それが風」
鷹司はそこまで言うと小さな弁当箱から高野豆腐を取り出して上品に口に運んだ。




