第176話 何かを企むアメリア、呆れる誠、かなめ、カウラ
「これは……少し小さいな。千代、何か巻くものは有るか?」
祥子は2メートルの巨体にふさわしく、手の大きい誠と同じくらいの大きな手で握るには小さすぎる銀玉でっぽうを手に困惑した表情を浮かべていた。
「はは、御屋形様。こちらをグリップに巻けばよろしいかと」
用意良く千代はバレットの入っていたガンケースから誠も時々銃のグリップが細い時に使うマジックテープを取り出した。
祥子は黙って銀玉でっぽうのグリップにそれを巻いて自分の手の大きさに合わせようとするがそれでも明らかに銀玉でっぽうは小さすぎるように誠には見えた。
「小さいな……アメリア、このタイプの銃で俺の手に合うようなものは無いのか?」
なんとか握れる程度まで握りを調整した後、祥子はさらにカバンから『祥子に撃たせたら面白そうなモノ』を探しているアメリアに声をかけた。
「うーん。たぶん10歳以上用のエアガンでも祥子ちゃんだと犯人が粉みじんになっちゃうでしょうし……はい、これが弾」
そう言ってアメリアは小さな小袋を取り出した。
そこには誠も子供のころに見たことがある典型的な『銀玉』が袋一杯に入っている。
「アメリアさん……いくら祥子さんでもそんなに無茶苦茶なことは無いような気がしますよ。それに10歳以上用のエアガンで捜査に行くんですか?確かに銃刀法違反にならないから常に実銃を持ち歩いている西園寺さんに比べたら安全ですし、ましてや祥子さんはいつもミニガンを持ち歩いているからそれに比べたら安全なのは分かるんですけど……一応警察官でしょ?法術特捜の捜査官も。僕が前浸かってた22口径の実銃くらいの方がいいんじゃないですか?」
それとなく助言する誠を無視して祥子はアメリアから銀玉を受け取ると銀玉でっぽうの蓋を開けて弾を流し込んだ。
「誠ちゃん。まあ、見てなさいよ。祥子ちゃん、準備できた?」
相変わらず緊張感ゼロでアメリアは祥子に声をかける。
かなめとカウラは明らかに誠と同意見のようにその様子を呆れて見ているが、かえでとりん、そして何よりも祥子のことを良く知る家臣の千代の目は真剣そのもので誠は正直引いていた。
「あそこに近接時用の50m先の的があるじゃないの……アレを撃ってみて♪」
アメリアの言葉に誠もかなめもカウラもその言葉の意味が理解できないでいた。
どう見ても銀玉でっぽう。誠はまたアメリアが島田達に色々弱みをちらつかせて魔改造したトンデモナイ銀玉でっぽうなのだろうと高をくくって的を狙う長身の祥子の思わず惹かれてしまうほどに美しい射撃姿勢を眺めていた。




