第16話 05式の重装甲がもはや通用しない時代が来た時
「諸君も知っての通り、シュツルム・パンツァーの開発は遼帝国の40年前の皇帝武帝の時代に始まった!その際、ゲルパルトがまず技術力に劣る遼帝国に工業技術の提供を行い、それが人型兵器であり『サムライの国』である自国の主力兵器とするにふさわしいということで甲武国がその開発に携わり現在のような規格の人型機動兵器として成立した!しかし、ゲルパルトは人型機動兵器の存在意味そのものがその機動性重視の戦略思想から考えるとナンセンスであるとの考えからこれの採用を見送った!だから、現在ゲルパルトの主力兵器は宇宙でも大気圏内でも行動可能な飛行戦車が主力となっている!」
ランの演説はだんだん機動部隊長らしく戦術面の話へと次第に逸れていくのがいかにも彼女らしいと誠は感心しながら聞いていた。
「現在、ゲルパルト連邦共和国の主力飛行戦車はゲルパルト第四帝国が開発した傑作飛行戦車5号飛行戦車『パンサー』の改良型だが、おととし、戦後、敗戦により兵器開発を禁止されていたゲルパルト連邦共和国は開発禁止期間明けと同時に新型飛行戦車『プーマ』を開発した!『パンサー』の時代遅れの180㎜レールガンに対し、『プーマ』の採用している230㎜ロングレンジレールガンはうちの西園寺が使っている05式用の230㎜ロングレンジレールガンと同威力……まあ、飛行戦車だから搭載している砲弾40発が尽きれば終わりだ!うちの05式みたいにマガジンチェンジさえできればいくらでも撃てるというわけにはいかんが十分脅威なのは間違いない!」
熱を帯びるランの演説の中の主砲の説明に入った段階で誠は冷や汗をかいた。
「西園寺さんのロングレンジレールガンと同威力の主砲?それじゃあ05式の重装甲も……」
重火力、重装甲、高運動性が売りだが機動性に著しく欠ける05式が機動性命の飛行戦車と火力に置いて並ばれている。その事実は気の弱い誠を驚愕させるには十分な話だった。
「誠君、そんなに心配なのかい?昔から言うだろ?どんなに威力がある火砲も当たらなければどうと言うことは無い……それに飛行戦車は三人乗りだ。砲手と車長の息が完全に合っていなければその主砲の命中精度など期待できるものではないよ。大丈夫だ。それに君にはそんな230㎜ロングレンジレールガンの攻撃すら簡単に跳ね返す『干渉空間』と言う盾が有るんだ……そもそも遼州人を非アーリア人の名のもとに見下して法術師の一人もいないゲルパルトのヒトラー心酔者の飛行戦車軍団なんか僕達の敵じゃないんだ」
まるで勝利を確信しているかのようにかえでは誠を握る手に力を込めて誠の顔を見て笑いかけた。




