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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 新年度の『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第三章 年度初めの式典

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第10話 出勤して来る元上司とちょっと張り切り過ぎな『男の娘』

「おはようございます、クバルカ中佐……。神前の説教ですか……神前はこのところ特に何もしていないと思うのですが」


 そこに現れたのは着替えを済ませたカウラだった。一緒にカウラの『スカイラインGTR』出勤してきたはずのかなめはタバコでも吸っているのかその姿は無かった。


「何か悪いことをしたから説教してるってわけじゃねーんだ。コイツのは今の疲弊した状況からの回復法は心の中にあるとこれから言おうと思っていたところだ……神前、状況や世の中は変えられねー。でも心の持ちよう一つで世界は変わる。それだけは心にとどめとけ。それより……カウラ。西園寺はどーしたんだ?オメー等はいつも一緒に行動してるじゃねーか。またタバコか?」


 誠への説教がカウラの闖入で中途半端に終わったことを不満に思っているようにランは自分の席に向うカウラの背中に声をかけた。


「ああ、西園寺は警備部発足の訓示をやるとか言ってグラウンドで新入隊員を整列させてますよ。まあ、あれはただの西園寺の野球部補強のメンバーですからね。どうせ西園寺の精神論全開の野球理論でも語っているのでしょう。あの情熱を戦闘以外の仕事にも向けてくれれば私も楽が出来るのに」


 カウラはため息交じりでそう言うと端末を起動してメールチェックを始めた。


「おはようございます!新年度ですね!楽しみです!」


 そう元気よく叫んでは言ってきた女子の制服に身を包んだのは『男の娘』であるアン・ナン・パク軍曹だった。いそいそとそのまま少しお尻に手を当てながら自分の席に着くとようやく覚えてきた端末を起動するという朝の出勤後の動作をこなした。


「アン、どうしたんだ?なぜ、尻に手を当てている……どこかにぶつけたのか?」


 誠に代わり第一小隊に異動になったアンを気遣うようにカウラは顔を上げて見つめた。


「ああ、昨日彼氏の部屋で僕のお尻の再開発をしたんで……ちょっと僕が欲張りすぎてしまって……」


 顔を赤らめつつそういつアンにカウラとランは意味が分からないというように顔を見合わせたが、アメリアにハード系ボーイズラブ同人誌を嫌と言うほど読まされている誠はアンの言葉の意味を理解してただ呆れ果てて何度もお尻に手をやるアンを見つめていた。


「アン……そんなことしてると痔になるぞ。隊長が言っていたが隊長が吉原でゲイバーとかの『男の娘』達の相談を受けていたころも結構そっち系の人の持病で痔の人は多いって聞いてたからな」


 誠は半分呆れながらそう言って自分の島である第二小隊の席に向かおうとした。


「いいえ!神前先輩のギネス級を受け入れられるようになるまで僕は頑張るつもりです!待っててください!」


 急に叫んだアンの言葉に誠はどっと疲れが湧いてくるのを感じていた。


『アン……お前には彼氏がいるじゃん。僕の事は諦めてよ……お願いだから……ただでさえ僕の周りには女性でも問題を抱えまくっている人しかいないんだから。これ以上そう言う問題抱え込みたくないんだ……それに僕はそっちの趣味は無いから』


 心優しい誠にはそんなアンを傷つけるようなことを口にできるはずもなく、ただ軽く手で挨拶をしてそのまま自分の席に着いた。

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