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憤怒

つまらない日々。

ルナとの、官能的なキスは私の心をえぐり、また

何とも言えない心地よさへといざなった。



だからこそ。

今この瑠璃市駅前での仕事に辟易としている。



一目会っただけで嫌悪感しか湧かない。



私のモチベーションはお金ではないのだ。




朝倉ケイから取るカウンセリング料はすでに

一度で都内23区の高級マンションの家賃分まで膨れ上がっていた。



それでも金払いをし続ける朝倉に気持ち悪さを感じていた。






「・・・それでねえ・・・せんせ。私きのうね、りょーちゃんと

うふふ・・・あの子、普段はツンツンしているくせに

寝床では甘える子猫のようなんだから。」



目元の赤いアイシャドウ。

手首にあるリストカットの痕。

肩からはよれよれのブラジャーの紐が見えており、

薄汚れている。


相変わらず、エナジードリンクを片手に怪しげな錠剤を時たま

飲み干している。



朝倉はおそらく、メンタルをやられている。

ありもしない米島との逢瀬の話を聴くのはこれで何回目だろうか。


こんな話を聴くために医師を志したわけではないし、

そもそも私はカウンセラーでもなんでもないから断ってしまえばいい。




だったら、なぜ私は今ここにいるのか。




「よくね。合宿中は二人で抜け出してね。お星さまがとても

きれいに見えるくらいなの。何もないところで二人肩を寄せ合ってね・・・」





そう言いながら口角をあげながら、

リストカット痕がかゆいのか、ぼりぼり掻く様子は

非常に気持ち悪い。







そう気持ち悪いのだ。









だったらなぜ。




「あーちょっとのどか湧いちゃった・・・すみませーん。アイスコーヒー1つ。」




アイスコーヒーを頼む、朝倉。

彼女の細い腕があがる。



ダンスをやっていた時はもっとしなやかにそして強い腕だったろうに。

今じゃ、骨と皮のみだ。





これじゃあ、米島が振り向かないだろう。

いや、そもそも米島は・・・・・

ルナを・・・・



そしてルナは・・・・・








唇をかむ。

鉄の味がした。









ふと窓の外に目をやる。








私は思わず目を見開いた。



「あれえ・・・せんせ。どうしたの?怖い顔して?」






朝倉には見せられない光景だった。

いちカウンセラーならこちらに話を引き付けて

彼女の心をズタズタに引き裂かないように配慮すべきだった。






だけどその光景は私の心すらもズタズタにした。












「りょーちゃん、鼻に生クリームついているよ。」




クレープ屋の前。

二つの影が重なる。




「る・・・ルナ・・人前・・・だから。。。」






米島の鼻についたであろう、生クリームを

丹念に、とても丹念に、唾液を垂らしながらなめとる

ルナの姿だった。

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