崩壊
私はいつも通りの朝を迎えた。
『ふぅ・・・・。』
ため息が出る。
いつもは朝風呂しないのに、
体に血を巡らせたいと思い風呂に入る。
湯船に口元まで沈みながら、考えた。
りょーちゃんに言われたこと。
あんな風にりょーちゃんに罵倒されたのは
はじめてだった。
ただ。
そのくらい私の行いが、彼女の中に鬱憤を溜めて
いたのだと思いしらされた。
『いけない!よしっ!』
自分の両頬を叩く。
私が今やるのは最高のステージを作り、
瑠璃大学ダンス部の再興を世間に伝えること。
その為に、テルに助言を求め、りょーちゃんとエリカを引っ張り出したのだ。
湯船からザパッと上がる。
勢いよく、湯船からお湯が出るくらいに。
『おはよー!!!』
貸しスタジオに
明るく元気よく、陰気を吹き飛ばすような挨拶たで入った。
『これは?どういうことかしら?』
りょーちゃんとエリカが、テルを囲むように立っていた。
テルは見るから怯えている。
『え?みんな、、、どうしたの??』
『ルナさん。こいつ、誰と会ってたか知ってます?』
『いや、、』
『ケイっすよ!ダンス部を崩壊させた、ケイっす!あいつのせいで、部活は無くなったんすよ!テルがそいつと会ってたんす!』
私はテルの方を見る。
拳をつい強く握る。
『ははは、どういうことなんだろ、、、?』
人は予想だにしない状況に陥いると笑いが出てしまうらしいが、まさにそうであった。
『・・・・いえません。』
『言えないって何かやましいことがあるからじゃないの!?ふざけないでよ!!』
りょーちゃんが思わずフロアに片足のかかとを叩きつける。
明らかに怒気を纏っていた。
『しかも、あーしの調べじゃあ、最近アカウントにコメント出してるikeってのも、ケイらしいんすよ。なんでそんなやつとこいつが・・・・・・
怪しいとは思ってたんす!!いきなりルナさんに取り入って・・・・ルナさん、ほら、かわいい女の子好きだから、、、ケイの策略っすよね!ダンス部を再興させようとしているあーしらに、嫉妬して!!!!テルを送り込んで、、』
『かわいい女の子好きって・・・・。』
『何よ!私がいながら!結局、ルナはエリカも!テルも!私も!愛してなんかいないのよ!顔と体だけ!!!』
りょーちゃんが両手で顔を覆い、泣きはじめた。
私は歯を噛んだ。
エリカを思わず睨む。
『ルナさん、図星っすね。テルはケイによって送り込まれたサークルクラッシャーす!自分は前科背負ったからって、、、こうやってあーしらをぐちゃぐちゃにしてからに!!あーあ、やっぱ戻るんじゃなかった!ルナさんはただのスケベで、、』
机に拳を振り落とした。
スタジオに乾いた鈍い音が響く。
『私がどんな思いで、、、このダンス部をもう一度やろうとしたかも知らないで、、、よくもまあ、、そんな風に!!!!』
『知らないっすよ!そんなもん!だいたいルナさんの脇が甘いから合宿所で殺されかけたんじゃないすか!!あれがなければ、、今頃・・・。』
私の中で抑えていた何かがぷつんと切れた。
エリカには言うまい思い出させまいとしていたこと。
『ふざけんな!あんたが!部員の彼氏に手を出して、報復で子どもが作れない体にさせられたやつ、あれをどう隠蔽するか、どんだけ苦労したかも知らないくせに!だから閉経乙なんて!掲示板に書かれるんだよ!!このアバズレ!!』
言葉の凪が訪れた。
しかし、それは嵐前の静けさのように不気味だった。
その時間は永遠に感じられた。
やってしまった。
なんて言おう。
謝ればいいのか。
そういう問題じゃない。
触れてはいけないのだ。
『え、、リカ、、、?』
エリカは震えていた。
そして、、
口元は笑いながら
目からは涙が流れて
眉間には何重にも皺をよせながら
言葉を発した。
『そうすか、そうすか。まあ、百合野郎には関係ないかもと思ったすけど、子どもが産めない女は百合野郎にとってもそんな風にうつるんすね。わかりました。あーしはおりますわ。こうなった以上やってられないすから!!』
エリカはダンスジュースを脱ぎ、履いてきたヒールをガツガツ鳴らしながらスタジオを出た。
りょーちゃんはずっと泣いている。
テルは、何怯えたように体育座りで震えていた。
ダンス部はまた崩壊した。




