好きだから
クレープを食べる。
甘いはずのクレープは何も味を感じることはなかった。
このスケジューリングはテルの助言に従った、
ルナの意思に基づくものだ。
だから、
味覚は甘さを感じていたのかもしれないが、
私がそれを受け入れなかっただけなのだと思う。
「りょーちゃん、どうしたの?おいしくない?」
ルナが顔を覗き込んでくる。
それはうれしいはずの景色のはずなのに。
今日は妙にルナを感じると。
頭がごちゃごちゃになった。
景色がモノトーンになり止まったかのように。
私の心に刃を突き立てられたような、ひりつく感覚。
「なんでもないわ。」
そう返すのが精いっぱいだった。
私はスタスタと歩く。
「どうしたんだよ!?りょーちゃん。」
ルナが追いかけてくる。
むかつく。
むかつく。
すべてがむかつく。
ルナと二人で天下を取るはずだったのに。
ルナと二人で。
なんで今、こんなダンス部も崩壊して、
すべて粉々になって、でも再起をかけて召集に応じてみれば
なんだかよくわからない奴に部を乗っ取られたような形になって。
ある日からルナは踊らなくなった。
「私は、支える側に回るから。」
そう話したルナにどう声をかけていいかわからず、
でもとりあえず部活には残ってくれて。
そのうち、なぜか私の取り巻きグループみたいなのが、できて。
ルナとは距離ができてしまって。
やっと。
やっと二人に慣れたのに、、
「ちょっと・・・りょーちゃん・・・・」
「なんなのよ!あなたって人は!!」
腹の底にたまっていた、黒い鉄の塊を吐き出すように。
そこにすべての熱をのせて吐き出すように。
「いつもそう・・・!!ダンス部の裏方に回るって言った時も!
今回も!ぜんぶぜんぶ、私を置き去りにして!!そうやって、
私を馬鹿にして!!信じられない!どんな思いで私が・・・・」
「りょ、りょーちゃん・・・・落ち着いて。どうした・・・」
「どうもこうもないわよ!!私は・・・・私は!!」
どんな汚い言葉を吐いたのだろうか。
腹の底からあふれ出た、どす黒い、嫉妬の塊が、、
ルナをこれでもかというくらいに叩きのめして
ずたずたにして・・・
どす黒さをすべて吐き出したあと、私は取返しのつかないことを
ルナに言ってしまったことに気が付いた。
ルナの顔を見る。
寂しそうに
切なそうに
苦しそうに
「そっか・・・・ごめんね。私はそういう風に見えていたんだね・・・」
なぜか笑みを浮かべて。
それはたぶん、自分への嘲笑。
そうやって、ルナの心を引き裂いてしまった私は。
その場から逃げるくらいしかできなかった。




