裏切り
テルは信頼に値するのか。
ライブハウスに下見に来た私はそればかりを考えていた。
ルナさんとテルはあれやこれや話をしている。
凋落した元ダンス部だ。
そんなメンバーの為になぜここまでやるのだろうか?
「テルさ、あそこビームとか出せないの??」
「ビーム・・・出したら・・・カメラ・・・・壊れる。」
「そうかあ。じゃあ仕方ないね。」
テルが携帯を取り出した。
「はい・・・・ああ・・・わかりま・・・した。」
テルがルナに耳打ちする。
テルは耳が近かったのか、くすぐったいよと一言添えて話を聴いていた。
あの距離感。
ルナさんは、たぶんかわいい女の子には目がないはずだ。
私のこともなんだかんだで、性的に見ていた部分は、やっぱりあったのかもしれない。
ダンス部にいないタイプの控えめな女の子。
「ああ。そうかい。行っておいで。」
「ご・・・めんなさい・・・」
珍しい。
テルがプロデュースの時間に抜けるのは珍しかった。
ルナさんはテルの方をずっと見ていた。
何かこう物足りないような濡れたような目で。
テルがもし、何か別の意図があって、
ルナさんのこういう側面を知っていて
それで私たちを陥れようとしているのなら?
私の中で一つの仮説が生まれた。
「さて・・・帰ろうか。あとはテルに諸々は任せようかな。」
「え・・・あ・・・うん。」
気がつくと、ルナさんとりょーちゃんがやり取りをしていた。
「ほら!りょーちゃんも早くきなよ!帰りにクレープ屋行こうよ!』
「ああうん、ちょっと待ってよ。」
2人はクレープ屋に行くのか。
私は、、、、
『ルナさん、りょーちゃん、あーしちょっと野暮用があるんで今日はこちらで失礼します。乙でした!!』
『ああ、エリカは帰るのか。残念。』
ルナさんは目を伏しがちだ。
何かこう哀愁漂うような。
影があり、つい気になってしまう。
こういうところに、
世の女の子は弱いんだろうな。
私は、テルの電話を聞いていた。
『場所は、、、はい。市立病院の、、喫茶店ですね。』
我ながら地獄耳だ。
あんなか細い声。
いや、あの瞬間は何か別人のようにはっきりと
話をしていた。
全くをもって幸運だ。
ライブハウスから、市立病院に行くにはバスを使わなくてはならない。
だとしたら、このあたりのバス停だ。
ライブハウスのある通りの商店街を抜けた先にあるバス停。
全力疾走で向かった。
バス停には、テルがいた。
何人か並んでいたので先頭のテルにはバレないだろう。
バスが出る。
テルは1番後ろだ。
私はバレてないだろうか。
変装用のパーカーのフードを被ったから顔は見えないはずだ。
『次はー市立病院、市立病院。』
バスの運転手が終点を告げた。
先回りして市立病院の喫茶店に来た。
店の奥の席で、いつもなら読まない新聞を広げて顔を隠す。
カランコロン。
喫茶店のドアが開く。
青髪の女の子。
『え、、、、!!』
黒のポニテに、赤いアイシャドウ。
黒一色のフリフリの服に、片手にはエナジードリンク。
テルの後ろにいたのは、
ダンス部を廃部に追い込んだ張本人、
ケイだった。




