温かいもの
私はルナに助けられた。
いや、正確には散々嬲られた後に拾われたというのが正しいか。
その日はルナに連れられて、彼女の部屋に泊まった。
彼女は車いすのまま器用に料理を始めて、
何か暖かいものを作ってくれた。
私はそれを呆然としたまま、何を食べているかわからないけど
食べていた。
暖かい。
それだけを感じて食べていた。
「どう?」
ルナが車いすに座って、彼女は何かコップに入れて飲みながら
私に聞いてくる。
どんな表情をしていたかはよく覚えていない。
私の視界はふらふらと何かぼやけているように揺れていた。
「痛い・・・・」
確かそうつぶやいたのかもしれない。
「どこか痛むの??」
ルナは車いすのままという慣れない姿勢のままでの
調理で疲れているはずだったのに、一生懸命車いすを引いて
私に近づいてきた。
「なんでも・・・・ない。」
「なんでもないのね。」
「うん。これ・・・食べたらまた踊らないと・・・」
「もう今日は休みなよ。」
「だめ。踊らないと。」
私は夢中になって目の前の温かいものをほお張ろうとした。
「熱い。」
「そりゃそうだよ・・・りょーちゃん、熱いもの。ゆっくりしなよ。」
そうか。
ルナはこうやって温かいものを食べさせて、私を足止めにしようとしているのだろうか。
「ひどい。」
「・・・・」
ルナは泣きじゃくる私の髪をなでながら、
温かい食べ物を口に運ぶ。
「おいしい?」
「わからない。」
「そう。それくらい・・・・」
やめて。
それ以上先は言わないで。
「りょーちゃん、そのくらい傷がついたんだよ。」
「・・・・っ!私は・・・・!私はダンス部の為に!私、一人でも
頑張っていれば!!ダンスを続けていれば!!」
ルナが強く抱きしめてくる。
ルナの肩に私の顔があたる。
何か湿ったものを感じる。
ああ。
私は泣いているのだ。
「りょーちゃん、今日はゆっくり寝なよ。」
「う・・・う・・・・」
私は泣いていた。
泣いて
泣いて
泣き疲れて
そうでもしなければ
眠ることができなかったから。




