表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/78

晴れない空

私はそうして、怠惰な日々を過ごしていた。


1日3回のりょーちゃんからの定期連絡。


いつまで身を隠していなくてはいけないのだろうか。




車いすのダンサー。

さすがに憐れんでいただけるだろう。

ただ、デジタルタトゥに残されたからには、どんな辱めを受けるかわからない。



そう考えると怖かった。

物心共に逃げ場がない。



こんな状況でかつ、瑠璃大学ダンス部は色物扱いだ。


歩けない私は、下手したらその辺の下種の慰み者になるのではないか。



「ははは・・・・まさかね。」




いや、人間は愚かしいのだ。

ダンス部は昔からそういった好奇の目で見られてきた。


後ろ盾がなくなった今、何をされるかわからない。


ケイが煽りにあおったファンたちが逆恨みしないとも限らない。





それでもだ。



私はダンス部をあきらめたくなかった。


たとえ、逮捕者が出た部活でも。

私のすべてなのだ。



そしてここに私の夢がある。


だとしたらだ。

動かないわけにはいかなかった。





りょーちゃんにチャットを送る。

既読はつかない。

でもすでに送ったという既成事実はできた。

見ていないのが悪いのだ。




私は通販サイトで機材をそろえた。






♦♦♦

練習場をあとにした。


「うわ。。。。何あれ・・・・」


「ひどいわね・・・・」




私はお気に入りのワンピースを身にまとった。

正確にはお気に入りだった。


胸元を隠すようにデザインされていたそれは、ざっくりとV字に引き裂かれて、あわや、下着が見えんばかりの

ものになっていた。


いや、それならまだしも。


へそが見えるくらいまで引き裂かれていた。


だから、下着は見えていた。



でも替えの着替えはない。



「やっぱり色物だったんだな。」



私は気にせず練習場をあとにした。




「靴がない。」



靴がなくなっていた。

服は引き裂かれて、履物はない状態。


それでも私は臆せず練習場を出た。



外は雨が降っていた。

ざあざあと、夏の終わりを告げるように、

蝉をたたき落とすように。


雨に打たれて動かなくなっている蝉を見る。




それはまさになすすべもない、われらが瑠璃大学ダンス部のように。




私は雨に打たれて、ワンピースが水分で肌にまとわりつく。


好奇の目で見られる。


へそまで引き去れていて、かつはだしでこの、都会のアスファルトを歩く。




とちくるった人間に見られただろう。



ただ、私なりの抵抗だった。




そのくらいの風当たりに負けていては。




ダンス部は復活しないのだと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ