晴れない空
私はそうして、怠惰な日々を過ごしていた。
1日3回のりょーちゃんからの定期連絡。
いつまで身を隠していなくてはいけないのだろうか。
車いすのダンサー。
さすがに憐れんでいただけるだろう。
ただ、デジタルタトゥに残されたからには、どんな辱めを受けるかわからない。
そう考えると怖かった。
物心共に逃げ場がない。
こんな状況でかつ、瑠璃大学ダンス部は色物扱いだ。
歩けない私は、下手したらその辺の下種の慰み者になるのではないか。
「ははは・・・・まさかね。」
いや、人間は愚かしいのだ。
ダンス部は昔からそういった好奇の目で見られてきた。
後ろ盾がなくなった今、何をされるかわからない。
ケイが煽りにあおったファンたちが逆恨みしないとも限らない。
それでもだ。
私はダンス部をあきらめたくなかった。
たとえ、逮捕者が出た部活でも。
私のすべてなのだ。
そしてここに私の夢がある。
だとしたらだ。
動かないわけにはいかなかった。
りょーちゃんにチャットを送る。
既読はつかない。
でもすでに送ったという既成事実はできた。
見ていないのが悪いのだ。
私は通販サイトで機材をそろえた。
♦♦♦
練習場をあとにした。
「うわ。。。。何あれ・・・・」
「ひどいわね・・・・」
私はお気に入りのワンピースを身にまとった。
正確にはお気に入りだった。
胸元を隠すようにデザインされていたそれは、ざっくりとV字に引き裂かれて、あわや、下着が見えんばかりの
ものになっていた。
いや、それならまだしも。
へそが見えるくらいまで引き裂かれていた。
だから、下着は見えていた。
でも替えの着替えはない。
「やっぱり色物だったんだな。」
私は気にせず練習場をあとにした。
「靴がない。」
靴がなくなっていた。
服は引き裂かれて、履物はない状態。
それでも私は臆せず練習場を出た。
外は雨が降っていた。
ざあざあと、夏の終わりを告げるように、
蝉をたたき落とすように。
雨に打たれて動かなくなっている蝉を見る。
それはまさになすすべもない、われらが瑠璃大学ダンス部のように。
私は雨に打たれて、ワンピースが水分で肌にまとわりつく。
好奇の目で見られる。
へそまで引き去れていて、かつはだしでこの、都会のアスファルトを歩く。
とちくるった人間に見られただろう。
ただ、私なりの抵抗だった。
そのくらいの風当たりに負けていては。
ダンス部は復活しないのだと。




