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訪れる災厄

私にとってこのダンス部の成功は、大きな意味があった。

ビジネス的な成功ではない。


イベントの受注なんておまけだ。

大切なのは、実績を作ること。


個人で成し遂げることなんて意味がないのだ。




だからその日もきびきびと指導をしていた。



それは何日目だったか。

やたらと練習場の端っこの電球がチカチカしているなあと感じていた。



(いくら払ってこの合宿所借りていると思っているのよ・・・・)



細かいところだろうが、

こういう練習環境1つ取っても、神は細部に宿るでないけれども、大きな意味があるのだ。



私はあいつに視線を送った。


あいつはすぐに食堂に向かった。



私が目配せを送るより以前、すぐに気がついたみたいだった。




「・・・・・さて!!じゃあ、ダンス部集合!!」



「「「「はい!!!」」」」



その掛け声で部員が私の周りに集まる。


このくらい人数を束ねたくらいではだめなのだ。



圧倒的にこの組織の規模感で実績を作ることが私にとっては必要であった。



だからこの規模感をまとめているくらいで・・・・優越感に浸ってはいけない。





「さて!!今日は合宿後に控えた、イベントのメインステージに立つ我々、瑠璃大学ダンス部の演目で

一番目玉となるパートを練習したいと思う!!ここからが合宿本番だ!!脱落するものはいらない!!我々ダンス部は

常に全国のダンス界のパイオニアであり続ける必要があるからだ!!」




「「「はい!!!!」」」



そう。

ここまでくるのに、どれだけの部員をきりまくったか。

視界の端には、あのエリカがいる。


彼女も瑠璃大学ダンス部の名誉だけ取れば、はっきり言って不要かもしれない。

2年前にあんなことを起こした当事者だからだ。


しかし。




「エリカはこのダンス部を救う逸材だと思うよ。」



そのメールをルナからもらった私は悩んだ。


それから彼女のダンスの技量を観察し続けた。




粗削りではあるが、天性のしなやかさ、体の使い方、

そしてプロポーションが備わっている。


そうだからか。



(女の妬みというのは・・・・かくも末恐ろしい。)


ねたまれる存在なのだ。



彼女くらい、可能性の塊なら・・・・





「あーーーごめん、ごめん。私はあそこの電球変えるからさ。」





ぴりっとした空気をぶち壊しにかかるルナ。



何か唇でこちらにメッセージを送る。



(りょーちゃん、くうきこわしてごめんね)



そう読み取ることができた。






顔がかーっと熱くなるのがわかる。

しかし今はダンス部の士気を鼓舞している最中だ。




「・・・・・今からの演目の練習はより一層ハードなものになるだろう。各自水分を取り、5分後から練習を

始める!!」



「「「はい!!!」」」




いったん解散させた。

体の芯が熱くなる。

じわっと何かこみ上げるような、何かこうドーパミンがガンガン出るようなそんな感覚だ。


(するい・・・・・)



ルナはいつもずるいのだ。

絶妙なタイミングで、私に視線を送り、私の心を揺らしてくる。

あんな・・・・・澄んだ瞳とハニカむような笑顔を向けられたら。



(濡れちゃうじゃない・・・・)




ぽわぽわと羽が生えたように気持ちが浮いているその時だった。





ばきっ!!

どかっ!!



「な、なに!!?」



「ぶ、部長!!ルナさんが!!ルナさんが!!」



部員が集まっている方に視線を送る。

床に大きな穴が開いて、その穴の底は見えないくらい真っ暗だった。



「電球を変えようと、脚立を置いたら、ルナさんが!!落ちました!!!」




落ちたって・・・・・この練習場の下は・・・・・・






私は駆け寄る。


この練習場の構造を思い出す。


湿気やカビ対策で少し床を高くしてあるのだ。


床下はおおよそ5メートル。



「だ、誰か!!早く、梯子をもってきなさい!!あと救急車を!!!」



暗い空洞の底に。


ルナがうつぶせでうずくまっているのが




かすかに




見えた。



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