醜い
「やあ・・・・ルナ嬢。」
ケイさんがこちらに近づいてくる。
とびっきりのいやらしい笑みを浮かべて。
「ああ・・ケイか。君が一人で食堂にいるなんて・・・・どういうかぜの吹き回しだい?」
「ああん?喧嘩売ってんのか?」
「喧嘩売ってる気はさらさらないんだけど・・・・・」
ルナさんは少し嘲るように笑う。
ケイさんは割と敵意をバチバチさせながら、ルナさんに詰め寄る。
「あんたは、もっぱらこの時間はかわいがりをしてるって聞いたけど・・・・あ、個別レッスンの間違いかな?」
「そちらこそ。なんだか体つきだけで新しいサポート役を選んだんじゃないのかい?」
「体つき?ああ。ははーん、本当はあんたがエリカのサポートをしたかったってことなのかな?」
「は!?なんであたしが、こんなサークルクラッシャーの権化みたいな女を・・・・」
サークルクラッシャー・・・・
ああ私のことだ。
「エリカは才能の塊だよ。少なくともあんたよりは筋がいいと思うぜ。」
「ははーん、そうですか。こんな牛の乳のような胸の女、見栄えが悪くてそれ目当ての男しか集まんないよ。」
牛の乳。。。。
自分の胸元を見る。
ケイさんの胸元。
ルナさんの胸元。
相対的にみると、私のことを指しているに違いない。
「っつ・・・・!!」
思わず胸元を隠す。
「はーん、ほら。あざとい。そうやって2年前もうちの部活を壊しかけた女は怖いね。」
「いい加減にしなよ。同姓だからってあんまりそういうこと言うのは・・・セクハラだぜ?」
「ふん、何がセクハラだ。お前だってこの牛女をそういう目で見てるくせにさ。」
ルナさんを見る。
あざけるような表情はしながらも少しさっきより表情が硬く見える。
ルナさん・・・私をそんな目で・・・・
「エリカ?ちげえからな!!私はただエリカのダンスの才能を見てさ。それでサポートしたいって思ったんだから。」
いつもよりルナさんが早口だ。
うん。
嘘がわかりやすい。
「はっ!この牛女も引いているじゃねえか!これだから、偽善者は嫌だぜ。」
「は?どっちが偽善者だよ、りょーちゃんのケツの穴しか見てないくせに。」
ルナさんのそのセリフを聞いたケイさんは一気に顔が青ざめた。
青ざめたというより、何か黒い怒気のようなものをまとい始めた。
「どういうことかな・・・?」
「そのまんまだよ。何がとりまきだよ。結局さ、りょーちゃんにかわいがられたいだけなんだよ。あんたも。」
怒気はますます黒味を帯びている。
「ははは・・・・あんたに何がわかるんだい?ふざけやがって。。。愛されているからって。。。
調子に乗りやがって・・・・どんな思いでさ・・・りょーちゃんがさ・・・・」
ケイさんは文字通り怒りで震えていた。
「ルナ。今に見てろよ。二度とダンスできねえからだにしてやるからさ・・・ふふ・・・・」
ケイさんは怒りは体全体がこわばり、歯をかみしめすぎたのか口元からは血が一筋、流れていた。
「後悔させてやるからな。。。ルナ。」
「おとといきやがれ。」
ルナさんは、ケイさんの顔面につばを吐きかけた。
「ふん。なんて。まずいつばだ。りょーちゃんのに比べると・・きっと・・・・」
「なめたことも、その恩恵にあずかる機会もないくせに。知ったかぶりが。」
ケイさんは食堂を出ようとした足を止めた。
「あんたのダンス人生終わらせてやるから。死よりつらい目に合わせてやるから。」
ケイさんは顔をむけず、喉の奥につまった泥団子を吐き出すかのように
言葉を捨てていった。




