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崩壊の始まり

「はあはあ・・・・」


枕元には息があがっている取り巻きの女が一人。

汗をかきながら呼吸を整えている。


私はそんな女の隣で着衣を整えながら、煙をくゆらせていた。




あのルナという女のせいで調子が狂う。


エリカを擁護し始めていて、このままだとあの女を追い出すことができなくなってしまう。


「け・・・ケイ様ああ・・・」


しなだれかかってくる。


「ああん?今はおよびじゃねえんだよ!!」


「きゃっ!!」


女を突き放す。



こういう勘違い女は面倒くさい。

一度寝屋をともにしたくらいで、私と百合をしけこむことができるなんて思うんじゃねえよ。



「あんたさ・・・・もういいよ。この合宿終わったら部活やめなよ。いらない。そういう割り切ることのできない子は。」


「ひっ・・・・ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・・・」



この女は前髪で右目を隠していて少し根暗な感じだ。

どうしてこんなのを部活に入れたのだろうか。

りょーちゃんの選球眼は狂いはないはずなのに。


「もういいよ。自分の部屋に帰ってねな。明日も早いんだから。」



髪をなでてやる。


「はあい。。。。」


女は乱れた服を整えてふらついた足で出て行った。





こういうのは飴と鞭が重要なのだ。


持ってきた手鏡を見る。



「ちっ・・・・・」


首のあたりにキスマークつけやがって・・・・。


お気に入りの赤のアイシャドウもあいつの唾液にまみれて、消えかかっている。



「明日の朝、早めに起きて、ちゃんと消さなきゃな・・・・・」



じゃないとりょーちゃんに幻滅されてしまう。




しかしなんだったんだ。


あの食堂でのルナを見るりょーちゃんの視線は。


少し目があったと思うと視線をそらした。

そしてその顔を見てしまった。



りょーちゃんの惚けた顔を。

顔を赤くして、目がとろんとしている。


あれじゃ・・・・・

あれじゃ・・・・・。



「くっ・・・・りょーちゃんを理解できるのは私だけなのに!!!」



そうりょーちゃんを野望、ビジョンに伴走できるのは私だけなのだ!!


あれじゃ、りょーちゃんは・・・・・。



煙を消して合宿所をふらつく。



「ん・・・・・?」





エリカが部屋から出てくる。

そのあとに続くのはルナだ。



「あの女・・・・エリカを連れ込んで・・・・ははーん。そういうことか。」


エリカは同姓でも思わず心拍数が上がってしまうくらいの肉体の持ち主だ。



ルナはそれを手に入れたい。

エリカは1軍になりたい。



だからお互いのニーズを満たしあうためにか。



「ん??」


エリカが少し先を歩いたあと、ルナは部屋を覗き込んで

慎重な手つきで鍵をかけて、何度も鍵がしまっているか確認している。




「合宿所の鍵・・・・」



合宿は基本的に4人1組で部屋を使っている。

なので部屋自体に鍵をかける際には、同室の人間がいる必要がある。

しかし、エリカが出ていっただけでルナは鍵をかけてしまった。



「あいつの部屋は・・・・・」



私の部屋は残りの3人には空けるよう伝えておいたからさっきの右目を隠している女のかわいがりをすることができたのだ。



「妙だな・・・・・」




部屋番号を見る。



「104・・・・・」




合宿のしおりを見る。


合宿所の間取りを見た。





「101,102,103・・・・・105。あれ?104なんて・・・・存在しないはず・・・・・」



なぜか。

存在しない部屋にルナだけがいる。


「いったい・・・・・どういうこと??」



私は合宿所の所長を訪ねることにした。






♦♦♦


所長は食堂にいた。


所長といっても炊事掃除から合宿所の収支管理など、まあ、単なる雑用だ。

オーナーは別にいるらしい。



「ねえ・・・所長さん?」



「ああ?ああ・・・・ダンス部の嬢ちゃんか。なんだい?」



所長は皿洗いをしていた。

部員全員の皿を一人で洗っているのだからたくましい。



「いえ・・・・ちょっと気になるお部屋があったもんですから・・・・」


「ああ?なんだい?故障でもしたのかい?」


「いや、特に何もないのですが・・・・この合宿所って104号室なんて・・・・ないですよね???」


「104・・・・はて・・・なかったかな。どうだったかな・・・・」



目が泳いでいる。

今までこちらに目を合わせて話をしていたのに、明らかに動揺している。


「知っているんですか?104号室のこと。」


「いやいや、ほらほら、これが合宿所の間取りだ。104なんて存在しねえよ。」



「へえ・・・じゃあこれはなんなんでしょうか?」



念のため、スマホでとっておいた。



「これはどこの合宿所だ?知らねえさ・・・」


「ふーん、しらをお切りになるんですね。」


私はそう言って皿洗い場に乗り込んだ。



「なんだ?なんだ?」



所長の手を取る。


そのまま、私の胸を触らせた。



「な、なんだべ??」


「いーえ・・・・いやあ、合宿に来た女学生の胸を触るような雇われの所長さんって・・・オーナーに連絡入れたらどうなるかなあって思って・・・」



「ひっ・・・・おめえ!!」


「あら?お客におめえはないじゃない?あらら、これはまた一つ入れないといけないクレームが出てきてしまったなあ・・・」


所長は明らかに怒りながらも動揺している。




「そしたらあんたの首、とぶわね。」


「き・・・くっ・・・・何が目的だ。」



「だから聞いているじゃないですか?104号室のこと。」


「・・・・それは言うなって・オーナーから口止めされてんだ。」


「ふーん、じゃあ首をとぶだけでなくて強制わいせつ罪で捕まって、豚箱に入ってみる?」


「き・・・・はあ・・・・・く・・・くそう。」


所長はうなだれた。


「そうそう。賢くていいわ。大丈夫。あなたから聞いたなんてことは誰にもひろめないし、あの部屋のことを聞きたいだけなのよ。」





私はこの時嘘をついた。


いや、結果的に嘘をついた。



だってその理由を聞いた瞬間に・・・・・。





「はあ!!ルナさん!ほらアイスふるまわれてますよ!!マジワクテカっすわ!!」


「待てよ。エリカ。あ・・・・」




その怒りの対象が目の前現れたのだから。





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