さて、一か八かの戦いに向かうとしようか。
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日もすっかり暮れた頃、オレとタマと『シュテン』君は、要塞の作られてる方面の目立たない森の中に、『蜂影』先生が昼間の内に置いていた転送魔導具によって転送された。
何せ『シュテン』君はデカいので、転送魔導具を目立たぬ場所に点々と置いておき、リレーする様に転送するのである。
10回目の転送で目指す要塞が見えて来た。思っていたよりも巨大な要塞である。これが完成すればランカスター領だけで無くデュミナス領も常に危険に晒される。コチラに取っては致命的な場所に有るね。
しかしこのまま壊すにはもったいない気がする。ここは山と言うには少し低い小高い丘の様な場所。
360度全てを見渡せる高いやぐらを建ててあり、周りを石壁で囲ったり崖などを上手く使って攻め込み難くしている。上の方には更に城壁が囲ってあり、中に兵士たちが常駐出来る兵舎や倉庫などを建設中の様だ。
「それじゃあ『蜂影』先生、あの上の方に転送魔導具据えてくれる?」
『蜂影』先生はコクリと返事をするとスッと姿を消す。オレ達は先生の仕掛け待ちになる。そういえば『シュテン』君の上に居たはずのフクゾウはいつの間にかタマの頭の上に居た。
「フクゾウはそこが良いのか?タマから落ちるなよ」
フクゾウは大丈夫と言う様に胸?を張るようなポーズをした。
仕事の早い『蜂影』先生は直ぐに仕掛けて合図を送ってくる。
「よし、行くよ!なるべく建物は壊さないようにね!!」
「ニャア〜〜」
オレ達がいきなり転送されて来ると要塞内部は蜂の巣を突っ突いた様な大混乱に陥った。
オレはやぐらの見張りを魔銃コルトで撃ち抜くとそのままミスリルの鋼糸を使って敵を切り裂いてゆく。
タマは縦横無尽に駆け回り敵を蹂躙してゆく。フクゾウはよく落ちないな…感心するよ。
『シュテン』君は金棒で警備兵をモグラ叩きみたいに倒してゆく。振り回すと建物が壊れるからね。
あっという間に粗方の敵を倒したので下に向かって敵を追い出してゆく。兵士たちは次々と逃げ出して行くが、中には頑張ってオレ達に無謀な戦いを挑んで来る者も居た。
まあ、大体がオレがタマに殺られて行くよね。流石に『シュテン』君にケンカを売りに行かないって…。
小一時間もしない内に500名ほど居た兵士たちの3分の2はオレ達に倒されて、残りはどうやら逃げ出して行った様だ。コレでこの要塞モドキを手に入れる事が出来た。
「マイケル兄さん?要塞を手に入れたけどどうしようか?」
「て、手に入れたって?兵士たちは居なかったのか?」
「もちろん居たけど倒したり追い出したから。今はオレ達しかいないよ」
「要塞はどの程度の出来なんだ?」
「周りの石塀や城壁などはほぼ出来てるけど、中の建物がまだ出来てないね。材料は有るからコチラで手が有れば作れるよ」
「じゃあコチラから人を送る。アレには最大何人位送れるんだい?」
「そうだね…50名位なら送れると思うよ。先にオートマタ兵で試してみて」
「了解だよ。送り終わったらアレスはしばらくそちらに居てくれ。何かあれば連絡する」
マイケル兄さんはオートマタ兵90体をコチラに送り、300名の騎士団と傭兵を送って来た。オレは『シュテン』君と建築に詳しい傭兵達に建物の建設を任せて、下の方にオートマタの盾兵と剣兵を置き、中間地点に騎士団と傭兵を揃えて、上部にはオートマタ魔法兵と魔術師を置いて防衛に当たらせた。
オレとタマは更にその周りを警備しながら敵の残党や斥候を倒してゆく。『蜂影』先生には援軍の方に向かってもらった。ところがその後『蜂影』先生からの連絡がプッツリと途切れてしまったのである。
『蜂影』先生には壊れたりした時の為に居場所を知らせる装置を組込んで有った。それは魔導炉が故障した事を想定して、直接魔石から魔力を取る様にしている。『蜂影』先生の位置は此処から半日も掛からない場所である。オレはタマに乗って『蜂影』先生の場所を目指した。
一方その頃、下がって居たランカスター軍に後ろから王国の軍勢三万が襲い掛かっていた。
「愚かなり…デュラハンよ…よもや裏切り者に成り下がるとは…大罪人デュラハン=ランカスターを絶対に逃すな!私がカタをつけてやろう!」
三万の軍勢を率いているのはマーカス=カーランド将軍、冒険者ギルド本部の総長であるアッシュ=カーランドの嫡男でカーランド家当主である。
◇◇◇◇◇◇
「あれはマーカスか…王国が出張って来た以上は諦めるしかないな」
「致し方無しですな…援軍がこれほど遅れるとは…予想外でした」
「要塞まで撤退せよ。殿はこの私が努めよう。ランカスター卿を早く要塞まで送るのだ」
「将軍!それは…」
「相手の力量を読めなかったのは私の責任。これ以上醜態を晒しては死んだ者達に顔向けできぬ!!行け!!」
将軍はランカスター卿と筆頭執事の男を要塞に逃がす。一万の軍は撤退戦を開始した。
彼らはまだアレスの手で要塞が落ちている事を知らないのである。
いち早く要塞に向かって行ったランカスター卿であったが、要塞に近付くと上の方で巨人が何かを運んている…。
「ま、まさか…要塞が落とされたのか!!」
「あ、あれは間違いなくアレスの巨人兵…おのれアレスめ…アレさえあれば直ぐにでもここを落としてやるのに…」
「とにかく援軍と合流しましょう…そうすればあの要塞も直ぐに落とせます。見た所オートマタが居ますからね」
ランカスター卿と筆頭執事はそこから逃げる様に援軍のいる方角に向かって行った。
◇◇◇◇◇◇
アレスはタマと『蜂影』先生が居る場所に到着した。その横の街道には大軍勢がランカスター領を目指し侵攻中に夜中の為に休息を取っていた。
アレスはタマと静かに『蜂影』先生の所に向う…光学迷彩は解けて蜂の姿のまま微動たりともしない『蜂影』先生が居た。
「どうしたんだ…先生は…」
オレは先生をそっと手で持ってみる…『蜂影』先生の擬似魂魄がオレに囁いてくる…
《突然…魔導炉活動停止…原因不明…》
オレは魔導炉を金属使役魔法で調べるが全く異常が無い…試しに魔神銃や魔銃を調べるとやはり魔導炉が停止して全く使えない状態になっていた。このままの軍勢を行かせてはいけない。要塞のオートマタ全てが停止する事になる…その先には兄達の居る砦も有るのだ!!
マイケル兄さんに非常事態のアラームを鳴らし、場所を特定する魔導具のスイッチを入れた。
「タマ…こりゃあマジでハードな戦いになりそうだぜ…頼むぞ、相棒!!」
「ニャアアア〜!!」
オレとタマはその大軍勢に飛び込んで行ったのである。
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