お空遊び
ある赤ちゃん神様が独り立ちした日の事です。
「はじめての、おさんぽ。お空をおさんぽ」
赤ちゃん神様は足も声も弾ませました。
「あ、このお空には白い線がある。これって、人間の子どもが『よーいどん』する線だよね」
彼女の独り言に、きらきらとさせた太陽さんが赤ちゃん神様に教えてあげました。
「それはね、ひこうき雲って言うんだよ」と。
「ふーん、よし。よーいどんっ!!あの、くじらみたいな雲さんまで、がんばって走るぞ」
彼女が楽しそうに走る姿を、太陽さんも顔を輝かせて見つめました。
「太陽さん、元気すぎる!!暑いから、ちょっとあっちに行っていて。
あ、そうだ。くじら雲さんまで、かけっこ終わったら一緒にかくれんぼで遊んであげるからね」
そう言って赤ちゃんの神様はクジラに似た形の雲まで、かけっこをしました。
クジラ雲に到着した神様。
「たくさん走っちゃった」と、息を切らせながら顔を赤くしていました。
呼吸を整えた彼女は、クジラ雲に声を掛けました。
「くじらさん、乗っていい?」
クジラ雲が答える前に既に彼女は「よいしょ」っとクジラの背中によじ登ろうとしています。
「あ、くじらさんも、競争する?」
神様が「どこまで競争しようかな」とキョロキョロとします。
「僕は競争なんてしないよ」クジラが答えました。
「どうして。かけっこ楽しいよ。じゃあ、くじらさんのお背中に乗るから太陽さんと一緒にかくれんぼしよう」
そう言ってクジラ雲の背中に登ろうとしていた彼女は、するりと雲を通り抜けて空から落ちそうになりました。
「もう!くじらさん、ちゃんと、くじらさんをしていてくれないと。でも、雨になった気分で楽しいから許してあげる」
神様は弾ませた声でそのように雲に話しかけました。
「そろそろ太陽さん、かくれんぼしたいよね?」と輝いている太陽さんに神様は声を掛けます。
「わたしは逃げることも隠れることも出来ません。ですから、神様とはかくれんぼ出来ないんです」
そう太陽さんが答えると、クジラ雲が潮を吹きました。
「太陽さんのせりふ、かっこつけちゃってる!でも、かっこいいなぁ。私も逃げも隠れもしないぞ」
赤ちゃんの神様に言われた太陽さん。
クジラ雲が吹いた潮が少しだけ太陽さんを隠しました。
「よし、さっきの『よーいどん』の線に戻りたいな。ねぇ、風さん。私のことを、ふうふうして」
通りすがりに声を掛けられた南東の風は、彼女の背中をそっと押しました。
「もっともっと」はじゃいだ声を上げる神様。
南東の風は、本当にもう少しだけ息を強めました「早い早ーい」
「白い線さん、ただいま。でも、ちょっと消えかかってるね。もう遊べない?」
彼女の声を聞いていた太陽さん。
「大丈夫ですよ、その飛行機は定期便ですから。明日もこの空の同じ場所にまた線を引いてくれるんです」
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