わたしは真珠
間違いなく力量不足でした。現状ではこれが最大限。
我々は長い長い時間を、海の中で旅をしていたの。
一息ついた場所で、玉と言う女の子に出会ったんだ。
玉はね我々を村の人に渡したの。「決まり」だからだって。
きっと我々が玉と一緒に居たいと言って、玉もそう望んでも一緒に居られない。
だから我々は村の宝石が入っているという箱に入れられて過ごしたの。
我々はここでなら、のんびりできるかなって。
お友達だの珊瑚や真珠やと一緒に居るから。
せっかく玉ともお友達になったんだから会いたかった。
でも出来なくなっちゃった。
我々のせいで村に泥棒や喧嘩が起きちゃったんだって。
玉、気にしていないと良いな。「自分のせいで争いが起きた」そんな風に。
お役人に連れられて我々はお殿様のお城へ行ったの。
「この5つの大きな真珠をご覧ください。大きさの揃った4つと一回り大きな1粒。
これほどの物はお殿様がお持ちになっているべきです」
「ほほう」とお殿様は一回り大きな我を摘まむように、人差し指と親指で持ったの。
太陽の方に向いて我は光に翳された。光の反射を受けて我は虹色に光を纏ったみたい。
キラリとした我を見てお殿様はニヤリ。
我々のお城での扱いは玉といた村とは全然違った。
緋毛氈の敷かれた暗くて淋しい宝箱に入れられちゃって。
この場所で暮らしていくのかなっていた矢先。
「どうやって知ったのだ」との怒った声が何回も何回も。
背中に木箱を背負ったり荷車を持った人たちや、武器をお殿様のお城へ向けた人たち。
たくさんの大人たちが我々を探したみたい。
「部下にやるならまだ良い。しかし他人に渡すなど考えられぬ!!」
もっと暗い場所に隠されちゃって過ごすのかなと思っていたら、宝石箱が開いた。
我々は太くて短いごつごつした指と、子供のように輝く目を持った人たちへ。
部屋は熱い空気と汗のにおい、カンカンカンと何かを叩く音。
我々取り囲んで「お頭」と呼ばれた人を中心に多くの会話があったの。
「華国の衣類飾りのような玉偑はどうかの?」
「いやいや折角こんなに粒ぞろいなんじゃ。簪ではどうじゃ?」
「お殿様は奥方様に贈ると言ってたから、髪飾りも良いのう」
「まて!お殿様は舶来の物がお好きじゃ。えっと、これじゃこれじゃ。この絵巻にあるて『てあら』とはやらどうかの?」
「こりゃなんと珍しい形」
お殿様の部下にせっつかれた職人たちはやっと話し合いが終わったみたい。
カンカンカンと我々は部屋と一緒に歌ったよ。
そして宝飾品の一部となってお殿様の元へ帰っっていくことになった。
「これは婚姻の証」
てあらと呼ばれる物になった我々を見て、奥方様はにっこり微笑んで頷く。
そして奥方様の額も笑顔も輝かせた。
職人さんたちの部屋にいるときから今ももちろんずっと我々は、鎧を着こんで槍を持っている人たちに監視されている。
こんな窮屈な場所と思っていたら、ある時に「ハレの日」だからと奥方様の額を飾ったの。
牛車で揺られて海の匂いのする場所へと行き、奥方様は牛車のすだれを少しだけ開けた。
すると聞こえた気がしたんだ。
「またね真珠ちゃん」と、玉の声が。
駆け足というか急な展開で息苦しいですよね……。




