闇のモグラ
新見南吉『でんでんむしのかなしみ』から着想を得ました
あるモグラがせっせと穴を掘っていた時です。
上にいる人間の母娘の声が聞こえてきました。
「あ。モグラの穴っ!!」少女が嬉し気な声。
「頑張っているんだから、いじめちゃ駄目よ」
「わたし、知ってるの。モグラの目ってタイカしてるんでしょ。でも、タイカって何?」
「うーん、モグラさんの場合は光がなくても目が見えることじゃないかしら」
「ふーん、よく分からないや」
「そうね。ところでこのモグラさんは何処へ行くのかしら」
そんな風に楽し気に話す母娘。
彼女たちの声を聞いたモグラは思ったのです。
「そっか、だからボクはいつも光を探しているんだ」と。
「あ、ランチの時間だ」
光を探しているモグラはいつもランチを一緒に食べているお友達モグラに会いに行きました。
「ねぇ、ボクは光を探すためにいつも道を掘っていると気付いたんだ。
ランチをしながらお友達モグラに報告。
「そうかな。オレは暗い土の中が快適。だから光とかいらないんだけど」
「そっか」
二匹の会話はそこで終わり、モグモグと昼食を続けました。
「じゃあまた。明日」
そう言ってランチ友達と別れたモグラは、お友達の双子モグラのいるお家へと急ぎました。
自分の意見に共感してもらいたかったからです。
「光なんて疲れちゃうだけだよ。しかも太陽の光ってとっても蒸し暑いんですって」
「今まで通りで良いじゃない。光なんて見えたって目が疲れちゃうだけだよ」
モグラの双子も、光を探すモグラとは意見が違うようでした。
誰に聞いても光なんていらない。
そんな風に答えられてしまい、気持ちがこんがらがってしまいました。
光を探したいモグラは家に帰って一人でゆっくり考えよう。と、決めます。
モグラは帰路につくと、周囲も心も闇に覆われてしまいました。




