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ガロンの慟哭に近い言葉が止まった。
私は彼が体感した冒険者としての苦しさを抱えながらも、冒険者を続けていることがすごいなと思った。心が折れなかったのだ。
「私は好きですよ黄金の酒というパーティ名。
そんな名前の由来があったなんて初耳です。ぜひ黄金の杯を探しに行きましょう。
実在していたんだって報告したらいいんですよ。」
ガロンは目元が見えないように手を組んでいる。
茶が冷えてきた。新しく入れようと立ち上がる。
「君はこんな臆病者がメンバーでもいいのか」
「臆病者というよりも生存本能ですね。だからガロンのスキルは第六感なんでしょ?」
暖かい湯気の上がる茶をガロンに出す。
私も椅子に座りなおし茶を両手で包み込む。
「私が冒険者になると決めた時から、いや、師匠が消えてから私は生きることが目標です。
例えどんな状況になっても自分だけは生きなければならない。生きる術を私は持っています。
私が叶えたいのは師匠に再開することです。土産話を持ってですね。
その時にきっとおいしいお酒を飲みながら話すことになると思うのでガロンもいないとダメですよ。」
「君の師匠に怒られそうだな」
暖かい湯気の上がる茶を口へ含みながらそうつぶやく。
「師匠は怖いですよ。転生した分生きてますからね。
ガロンには感謝しています。私をあの国から出してくれてありがとう。私とパーティを組んでくれてありがとう。ダンジョンは、冒険者がこんなにも楽しいなんて教えてくれてありがとう。」
「こちらこそありがとう。君のおかげで俺は前に進める。」
目に光が戻っていた。
「さあ、明日一日休みの予定ですから、たのしかった冒険の話を聞かせてくださいよ」
「帝国内のダンジョンの話ならいくらでも聞かせられるさ。眉唾から本当にあった話なんかもな」
私たちは朝まで語りあかした。さすがに眠気には勝てずに寝床へ行き、昼過ぎまで眠ったあとギルドでダンジョン戦利品の売却をすませた。
次のダンジョンアタックで行けるところまで行こうと話していると身なりのいい人物が受付で何かを話していた。そうして受付の女性がこちらを指差す。
「ガロンのスキルではどうですか?」
「悪くはないと言っている」
中肉中背の男性は二十台半ばほど、黒髪を櫛削り後ろにながしている。そして黒目。その特徴から転移者だということがわかる。
「君たちに依頼したいことがある。」
後ろには従者の女性がついている。いや護衛か。
私たちはうなずきあい話を聞くことにした。
ギルドに併設されている酒場で話を聞くことになった。
「簡単にいうと私をダンジョンに連れて行ってほしいんだ。」
さすがに悩んでしまう内容だった。
だが男はギルドタグを持っており銀級の冒険者でもあるようだった。
女性も銀級のライセンスをもっていた。
身なりの良さからのギャップを感じた。
ガロンが問う。
「最後に冒険者をされたのはいつですか?」
「三年前だ。危険なのは重々承知だ。だが必要なことなのだ。」
「どこまで潜りたいと思っておられますか?」
「中層まで。さすがに深層まで潜ろうとは考えていない。もちろん相応の報酬を支払う。受付から今ここにいるパーティだと君たちがお勧めだといわれた。二人パーティで中層まで潜れるのであれば四人でも問題はなかろう。浅層で肩慣らししながらになるので君たちには護衛という形で依頼を出したい。」
願ってもない話ではあった。というのも私のランクアップのために護衛依頼を一つ受けるというクエストがあったからだ。帝国最後のダンジョンは金級でないと入れないダンジョンであったから早めにあげておきたかった。
ガロンと目くばせしながら了承する旨を伝える。
「わかりました。依頼を受けましょう。しかし無理だとこちらが判断したら依頼は終了とさせていただきたい。」
「それで構わない。私はタカアキラコバヤシだ。名前が長いのでねコバヤシと呼んでもらっていい。こちらの女性は私の護衛ではあるがリリーという」
「リリーです。よろしくお願いいたします。」
「ガロンだ。冒険をする上で丁寧な言葉遣いをする余裕がない場合が多い。この話し方でもいいか?」
「構わない」
「イシュドラです。魔法士です」
「あぁ、よろしく頼む。私もリリーも剣を扱う。」
「詳しい依頼の締結については私の屋敷で行いたいのだがいいだろうか。」
「ギルド内で行うルールですが」
冒険者を守るシステムの一つに直接依頼を受けるにしてもギルドを通さないといけないという理由がある。
「もちろんギルドを通す。少しここでは話しにくい内容になるんだ。」
「わかりました同行しましょう。」
ガロンの直観を私は信じている。彼がいいというなら大丈夫なのだろう。




