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ダンジョンに潜っては戻りを繰り返して二週間が経過した。
一階層では塔の先端のような部分があったり草原が広がっていたり特に調べるものはなかった。
二階層目では遺跡のような石造りの壁に木々の根が張っていて面白かった。
特筆するような点は特になかった。
三階層目からガロンは鎖帷子を皮鎧の下に着るようになった。外は寒いくて雪が降るくらいなのにダンジョン内部は暖かく不思議だった。
出てくる魔物も狼系の魔物が多く、立ち回りが悪ければ角に追いやられて食われてしまうのだとか。ガロンの先導のおかげで大したけがもなく進むことができた。
部屋の一つ一つに入って調査を進めるがこれといって進展はなし。
今日から四階層に入るところだった。
「四階層からはレイスが出てくる。聖水は三本程あるが注意しろ」
「ガロンは煙草をやりますか?」
「それ今必要な話か?俺はやらないな」
「それなら離れないようについてきてください。」
そういって私は煙草に火をつけた。深く吸い込み吐く。いつも通りの味だ。
「いや、どういう意味だ」
「この煙草には沈静効果があるといいましたよね。レイス系はこれが苦手なんです。なので四階層は咥え煙草で悪いですがこのまま探索しましょう。」
ガロンは手を目に当てて片手を私に向ける。待ってくれのポーズだ。彼が落ち着くまで待つか。
「な、にでできてるんだその煙草は」
好奇心に負けたようだった。
「満月の晩に瓶に魔素から出した水と薬草、香草をつけて月の光にさらしておくんです。」
ふーと煙を吹くとレイスが去っていく。その様子をガロンがありえないものを見た顔で見ていた。
「薬草はできるだけくらい部屋で熟成させるのがいいですね。筋を取って刻んで乾燥させます。このあたりは普通の煙草の作り方と同じかと思いますが。」
「月の光をたくさん浴びた煙草は聖水と似たような効果があるんです。」
「つまり聖水は月の光を浴びさせて作るのだろうか?」
ガロンは復活したようだった。
「さぁ?先に進みましょう」
石造りの壁、装飾された壁、何かの遺跡あとのような形をしているが装飾に思い当たる節はない。
安全な階層となったがスケルトンなんかも出てきた。退治はガロンに任せてマップと睨めっこする。
「こんな簡単な四階層は初めてだ。」
安全地帯で休憩中ガロンが何か納得がいかないような顔で言う。
私は誰かに会うかもしれないので薪に火をつけ簡単なスープを作る。今日はトマトベースで腸詰を入れておこう。キャベツの芯部分も併せて煮込めばとろとろになるだろう。
「四階層も特に新しい部屋や面白いものはなかったですね。」
「いや、まあそうだが。そうなんだが」
私は戦闘をせずただ煙草をふかしてただけだった。
「ここから先五階層はオークが出てくるようになる。中層といわれる部分だな。潜るか?」
「潜りましょう、ここまで特に成果はありませんでしたし。食事ができましたよ。」
迷宮ダンジョンは攻略はまだされていないらしく、最下層でも十階層だそうだ。ここから先は戦闘が多くなるだろうから今のうちにゆっくりしておくのも悪くないと思う。
「うまいなあ」
「いつも探索の時はどうしてたんですか?」
「携帯食料だよ。口内がぱさぱさになるんだがな。カロリーはある」
冒険者の中には携帯食料で済ませる者たちもいるようだが、私がそれが嫌だ。スキルのせいもあるが料理をしたい。幸いなことに荷物がかさばることがないのでどれだけ詰めても問題はない。
パンも渡しカロリーを取らせる。足りなかったら携帯食料でもいいとは思う。小麦をかちかちに焼き固めただけのものだから。
「今日はここで休んで明日五階層へ行きましょうよ」
「微妙な時間だもんな、そうしようか。」
「セーフティゾーンには何故魔物が入ってこないんでしょうか」
「ダンジョンが探索させたがってるっていうな」
「どういうことですか?」
「休める場所がある。先に進める。そうして人がどんどん深層へ侵入していくことでダンジョンは回っている。人が入らなければダンジョンは飽和する。そうして魔物の暴走が起こる。」
「暴走させたいんじゃないんですね。」
「人を飲み込んで少なからず死者もでている。本当の目的は人間を食いたいのかもしれない。それがダンジョンの謎だ。」
それでも人はダンジョンへと潜る。富を求めて。




