28
翌朝から買い出しに出かけた。魔獣素材のローブは寒さを防いでくれるため重宝しているのだが見た目が寒そうだといわれた。動きを阻害しないので便利なのだが。
ガロンは剣のメンテナンスに出すとのことでついていった。ついでに小型の投げナイフをいくつか購入しておく。あとは靴だ。
冒険者は足元からと言われるくらい足元で変わる。ダンジョン用の靴を購入し店を出る。
日中は部屋で自分の魔導書の書き写しを進めていく。ガロンが興味深そうに覗いてきていた。
「なあ、俺にも使える魔術はないのか?」
「秘密です。魔女論争に巻き込まれたいんですか?」
残念そうに肩をすくめる。
私が煙草をくゆらせているとお茶をいれてくれた。
「いつも吸っているその煙草はなんだ?普通の煙草じゃないんだろう?」
「鎮静効果のあるハーブで作った煙草ですね。もう癖になっていてつい集中しているときなんかに吸いたくなるんです。煙かったですか?」
「いや、そういう冒険者も多いから慣れている。イシュドラくらいの年齢で吸ってるやつは吸い方もわからないやつが多いけどな。いつから吸ってるんだ」
「最初はお香代わりに使ってましたが気が付くころには吸うようになりました。」
「なんだかそれも魔女っぽくていいな。ローブの素材も見たことのないものだし。謎だらけだ」
「そういえばお互いのことについてゆっくり話せる機会がありませんでしたね。答えられる範囲でしたらなんでも聞いてください。」
ガロンは向かい側の椅子に座って前のめりになる。
「いつから魔女に?」
「簡単にいうと五歳からです。師匠に助けられて、私が教えてほしいとお願いしたんです。」
「となると八年近く魔女の修行をしていたってことか。一人前になるにはそれくらいかかるのか」
「今でもまだまだ修行の身ですよ。まだ師匠にすべてを教わったわけではないですし、魔術についても勉強中です。今回のダンジョンで新しい魔術を使用してみようかと思っています。」
私は使用する魔術について説明をした。
「なるほど、面白い。そんな使い方ができるのか。」
そういえば、と。
「前回のボス戦でミスリル製のナイフを地面に突き立てて魔術行使したろ?あれなんだったんだ?」
「私はまだ見習いなので遠くの狙いを定めるのがちょっと苦手なんですよね。なので遠当ての要領で魔術を行使したんです。座標の指定がしやすいというか。ミスリルは魔素の流れもいいので使い勝手がいいんですよね。
最後に使った魔術もボスに直接刺して流すだけでした。」
「遠当ての要領か、すさまじい威力だったな。そんな短杖じゃなくてちゃんとした杖にしないのか?」
「杖は座標を定めるのに使いやすいのですが、実際はいらないんです。魔術媒介として髪の毛を使用しましたが、実際は片手に持つだけで十分なんです。そのあたりまだ見習いなんですよね。」
「魔法士が杖を持ってるのも座標を決めるためなのか?」
「魔法士の場合は自分のスキル行使がしやすいようにする為ですね。杖がなくても魔法は使えるはずですが、規模が違うと思います。杖の性能によって更に強い魔法を行使することが出来るようになる、みたいな。」
「ずっと聞きたかったんだがイシュドラのスキルは何だ?」
「料理スキルですよ。レッドベアおいしかったでしょ?」
首をかしげて笑ってみるが、ガロンは固まってしまった。
「あ、あれだけ動けて料理スキルだと?少なくても斥候系スキルを持ってるかと思ったぞ!」
「修行の賜物ですね・・・・・・。森の中でもレッドベアを一人で倒したり狼系を倒したりしていたので。それこそ剥ぎ取りには自信があります。料理スキルの派生で解体ができるので。」
頭を抱え込んでしまった。
「なんてこった。危険にもほどがある!」
「魔女なので一人でも行動できるように訓練してますからそのあたり安心してください」
「俺はすごいものを見てしまっているんじゃないかと気付いた」
「今更ですよ」
書き写し終えた紙を暖炉で燃やしに行く。ついでに新しいお茶でも入れよう。
「ならこれだけは教えてほしい、できること、できないこと。旅を同じにする仲間だからこそ知っておきたい」
「簡単にでよければ」




