27
「もうすぐつくぞ、イシュドラ」
うとうとと短い夢を見ていた。師匠との思い出。
「・・・・・・すみません、寝てしまってました。」
「いいさ、ほらあれがダームストラングの門だ。」
迷宮都市ダームストラングは中央にダンジョンがあり、うちからも外からも魔獣の進行を阻止するために門が大きく、厳重なんだという。
門には多くの馬車が並んでおり、各地から冒険者が訪れるそうだ。
かくいうガロンも迷宮ダンジョンには何度が潜っているらしく世話になっている宿があるからそこに泊まる予定だった。
門を越えた先も人が多く行きかっており、活気を感じる。寒地と感じさせない。
「うわぁ」
「にぎわってるだろ?」
思わず頷いてしまった。それほどに人が多い。
にやりとガロンが笑う。
馬車を降りても周りを見渡していたらアルスに話しかけられた。
「迷宮内で会うこともあるだろう。今回俺たちは深層をめざして潜るつもりだ。お前らも潜るならメンバーを増やすことを勧めておくよ。」
この二週間近く共にしていたメンバーだ。握手をそれぞれと交わし後にする。
宿屋は趣のある建物だった。槍や魔物の骨が入口に装飾されてあり一見入りにくい。
入ると暖炉の暖かさがしみる。一階は食事をするためかテーブルが各所においてある。中にも魔物の骨がいたるところにおいてあり頭なんかも飾られている。
「店主が元冒険者なんだ。今でも都市の外に出た魔獣の駆除なんかをしていて獲った獲物を飾ってるんだ。」
冒険者による冒険者のための宿のようだ。
「ようガロン、今回は一人じゃないのか?」
「パーティを組んだんだ。こっちはイシュドラ、イシュドラこっちのでかいおっさんが店主のワルターだ」
「こんにちは」
「おいおいこんな若い嬢ちゃん捕まえたのか、一見魔法士だな。いい子を見つけたようで何よりだがちと若すぎねえか?」
「安心してくれ、腕は確かだ。これで銀級だからな。いつもの部屋を頼むよ。」
ほらよっと鍵を渡される様子を眺めていた。気安い関係のようだ。
部屋は入ってすぐリビングがあり、その先に二部屋あるタイプだ。長期滞在向きの部屋らしい。
「どうしても長期滞在すると荷物が増えるからな。俺一人だと広いが個室だと狭くなる。大体この部屋を借りるんだ。」
「パーティで借りるにはぴったりですね。」
「正解。パーティ向けの部屋なんだ。イシュドラはそっちの部屋を使ってくれ。」
入った部屋は通常の個室タイプの部屋でベッドがほとんどを占めている。二段ベッドになっているので下の段に荷物を置いておくことにする。
部屋を出るとガロンが暖炉に薪をくべていた。
「魔道具ではないんですね。」
「魔道具が使える宿もあるが割高になるんでね。それに暖炉の方が使い勝手がいい。」
そういって鍋をかけ湯を沸かし始めた。
こうやって加湿すると部屋全体が暖かくなるしいつでも暖かい飲み物が飲めるそうだ。
「今日は迷宮ダンジョンについて説明しよう。明日は買出し、実際に潜るのは明後日から。どうだ?」
「それで大丈夫です。けどこれだけ人が多いと魔術を使うのも気を使いますね。」
「入ってみればわかるんだが、浅層だと他の冒険者に合う確率が高いんだが中層からは遭遇率がぐっと下がる。難易度でいうと高めのダンジョンなんだ。」
出てくる魔獣は狼やスライム、ゴーレムなど様々なようで階層によって特徴があるらしい。
前回と同じように一階層からゆっくり調査しながら潜る予定なので他の冒険者に比べてゆっくり進んでいく。一階層はスライムと狼が出てくるそうだ。
「このダンジョンではルーン文字は発見されていないが、まだまだ未発見の部屋があってもおかしくないダンジョンだ。一階層は草原が広がってるが階下に降りると様子が変わる。楽しいぞ」
新しいダンジョンに向けての説明は続いた。血が脈打つのがわかる。私も冒険者になったということだろうか。楽しくてしょうがない。新しい土地、新しいダンジョン。そして新しい食事。何もかにもが楽しみだった。
食事は一階でとるらしくテーブルにつくと皿に大盛のマッシュポテトと肉が盛られる。ガロンはもっと盛られていた。それと暖かいスープ。
ガロンが飲んでいるのはこの地域特有の酒らしく蒸留されていて度数も高いのだとか。私も一口もらったが喉が焼けるような熱さを感じむせてしまった。中には香草をいれた酒もあるらしいので滞在中購入しておこう。
腸詰肉をつつきながらダンジョンの話の続きをしているとどこかのテーブルで歌が始まる。
ガロンは笑いながらこれが冒険者だといった。
歌は冒険者を讃える内容で、冒険者ならだれでもいつのまにか歌えるようになるんだとか。




