26
それからの私たちはソーン迷宮の最下層まで調査を行ったがあのボス部屋以外の新しい要素は見つけられなかった。やはり一階層の扉がボス部屋ということで半ば封鎖される形となった。他の階層に比べて難易度がおかしいからだ。
「そろそろ他のダンジョンに行ってみようか。」
帝国内部にはダンジョンが三つ存在しているらしく、残り二つの攻略、調査をしていくことになった。
導きの光とは何なのか。冒険者らしくなってきたんじゃないだろうか。
私たちは帝国北部の街ダームストラングを目指して旅を続けていた。最大のダンジョン都市で大型迷宮ダンジョンがあるそうだ。大陸の最北にも近く、海を越えると魔大陸があるといわれている。
寒さも強くなってきており、私はローブにベルトで留めて襟巻を巻いている。ガロンも厚着をしマントを被っている。
乗合馬車で目的地まで約二週間となかなかの距離だ。
そんな私たちは今雪狼の一群に囲まれている。
短杖を取り出し馬車の上で全体を見渡す。雪狼が雪を連れてやってくるとのことで視界が少し見ずらい。
「ふぁいやーあろー」
火の矢を一匹一匹丁寧に放っていく。同士討ちを避けるためだ。
馬車の上には別の冒険者の弓士が同乗している。二人で分担しつつけん制が必要な個所や離れた個体を屠っていく。
最後の一体が倒された。雪狼の毛皮は断熱効果が高いそうだが残念なことにそのまま燃やされる。馬車の日程を遅らせるわけにはいかないからだ。
「イシュドラは温存してくれ。」
弓士アルスからそういわれたので大人しく休息することにする。
乗合馬車では交代しながら遭遇した魔物に対応していくことになっている。
「結構使ってしまったので大人しく休息しようと思います。アルスさんありがとうございます。」
「いいよいいよ。」
金級パーティの黄昏の旅のメンバーの一人アルスとは毎度馬車の上で会うためよくやりとりするようになった。
二十代後半に見える彼は私が若いからか優しく、何かと気を使ってくれるのだ。ランクは同じだが熟練度はやはり彼らの方が高く、剣士のナイル、盾士のジュドーの連携、御者台から全体の指示を出す斥候のライル、弓士のアルス、馬車酔いでダウンしている魔法士のマリーとバランスの良いパーティだ。
他にも二パーティ同乗しているのでしばらくはまた休めそうだ。
馬車は二台で曳いている馬は八足馬のため積雪でも難なく進んでいく。弱い魔物くらいなら蹴り飛ばしたりして馬車を守ってくれるが今回のような群れの場合は冒険者たちが対応していくことになる。
バサバサとローブの雪を落としつつ馬車へ戻る。ガロンは動きやすさを重視するためマントを脱いでいたようだ。馬車の中は魔道具で少しだけ暖かい。
「なかなかの数が出てきたな。」
マントを着込みながら座席へと座る。
「そろそろ都市が近くなってきた証拠だ。ダンジョンの近くってのは魔物が多く出るからな。」
黄昏の旅メンバーの剣士ナイルが言う。
三十代の彼は軽い風に見えてメンバーをよく見ている人だ。なにかと気にしてたりとパーティリーダーとはこうなのかと思わせる人だ。
それでいて戦うときは風のように早い。盾士のジュドーとの連携を見ると安定感と信頼を感じる。
「あと三日もあれば着くっしょ!」
斥候のライルも同じく軽めだ。だが彼がまめに地図と地形を照らし合わせたりしているのを見ている。
癖のようなものなんだ、なんて言っていた。
馬車酔いでダウンしてなければマリーと気が合ったと思うなんて言われたが彼女がダウンしていてありがたかった。魔法について聞かれても困るからだ。
この一週間程度一緒に行動して何度が会話したが気持ちのいいパーティで、もしダンジョンであってもよろしくと握手を交わした。
冒険者として多くの人と出会い、そして新しい地へと旅立つ。
全てが新しく楽しい。
都市へ着くのが楽しみでしょうがなかった。
迷宮ダンジョンでも調査をしつつ進んでいくことにしている。
導きの光についてなにか情報が得られることを願って。




