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西への街道ではなく、少し森に入りながらの道中となった。その方が話がしやすくて助かるし、いざという時は逃げられる。
「自己紹介がまだだったな。俺は帝国の金級冒険者ガロン。剣士だ。この国には鉄級冒険者と共に入国した。事情があって今は共にいないがな。それで君は?」
ある程度進んだところでそう切り出してきた。ガロン。赤茶の髪と揃いの目、長身、帝国の出でいて僕に対しての扱いも悪くない。
「僕はイシュドラと申します。聖皇国出身で今はガイドとして冒険者に雇用されたりしています。直近では銀級冒険者に雇用されてました。」
「それで、出国したいんだろう?この国から。」
「そう思い至った理由を聞いても?」
「雇用契約の場面は俺も見ていた。それが飯屋では君一人。他のメンバーは姿を見せていない。ただ別れただけではなさそうだ。俺の直感は君が非常に重要人物であると告げている。ただそれだけだ。」
僕の少し前を警戒もそこそこに歩きながらそう言う。
「それでは答えになってません。」
「確信に変わったのは飯屋で君の前に座った時だ。腰当たり、おそらくサイドポーチに魔術が仕込まれている。空間拡張とかな。この国の魔道具の所持は大店の商人か神殿関係者くらいしか認められていない。
それと仕込まれている魔術がまた巧に隠ぺいされている。いや、ほんのわずかな魔素しか必要としていないのか、初めてみたよそんな道具を。」
「見破る人がいるとは思いませんでした。」
「勘が良いんだよ俺は。」
くしゃっと笑った。笑うと少年のような人だ。
「スキルってのは頼りすぎるとよくない。けれど使えば使う程洗練されていく。そうだろう?
俺のスキルは第六感。感覚が鋭くなる。なんとなく怪しいものなんかを嗅ぎつけるのさ。」
「この国で怪しいものでも?」
「あぁ、嗅ぎ当てちまった。だから俺も出国しようと考えている。いや、元から君を連れ出すために来たのかもしれない。スキルってのはそういうものだ。」
「あなたの同行者は?」
「タグならここにある。銀級のパーティのタグを使うよりは信憑性がますだろう。」
金級冒険者以上は同行者として一名連れだって入国することができる。持ち主の鉄級冒険者が何かに首を突っ込んでしまい命を落としたと、枠が一名空いて疑われることなく出国させることができるぞと言っている。その代わり情報が欲しいのだろう。
「何を掘り当てたのか詳しく聞いてもいいですか?」
「もちろん。今日はこの辺りで野営でもしながらすり合わせしていこう。」
程よく街道から外れていて、程よく森の中に入りすぎない。熟練の冒険者は楽で良い。
「命の水とかいうワインを手に入れた。これは一体なんだ。」




