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「報酬は銀貨二枚でどうだい?」
翌日、ギルドにいた冒険者に声をかけた。ガイドの報酬としては少しふっかけている。
今日は麻のシャツに胸までのアーマーをつけ、ベルトにはナイフを差したいかにもな恰好でいる。
「話にならねえな。銀貨一枚だ」
男が答える。両脇の女は僕を見て興味なさそうに鼻で笑った。
「あそこの森に入るんでしょう?なら銀貨一枚に大銅貨一枚ってところでさぁ」
男が前のめりになる。
「魔獣も出ないこの国で何の危険があるってんだ。俺たちは銀級冒険者だぜ」
「だからこそガイドがいるってもんです。あそこの森は迷いやすい。そして熊退治ってのも甘くみちゃいけない。この時期の熊は荒れてるんでね」
鉄級、銅級、銀級、金級、ミスリル、アダマンタイト。この国への入国条件は銀級。最低限満たしてるなぐらいに思っていたが当たりだった。よその国では中流冒険者ってとこだ。
「たかが熊がどれだけ出ようが俺の敵じゃねえなあ」
「ねえちょっと」
「あんだよ」
「ガイド雇ってもいいんじゃない?私森で無駄に迷いたくないわ。私のアレも使用を制限されてるんだし。今回の依頼では役立たずよ」
そらきた。男が悩みだした。女の一人は回復職、おそらくランク上げにこの聖皇国に来たに違いない。そのついでの依頼だろう。もう一人は魔法職。この国で魔法は禁忌とされている。
「銀貨一枚に銅貨三枚、これ以上まけると仕事に支障が出ますがいいんですかい? 腕は信用してもらって構いません。いざとなれば自衛できるガイドはなかなか少ないですぜ」
「あーー、わかった。雇おう。俺はギル。神官はアマミ、槍使いがルーナだ」
ぐっと出された手を握り握手を交わす。魔法職を槍使いに偽装か。数には入れられないな。
「イシュドラといいます。よろしくみなさん」
「明日朝日が昇る頃出発だ。熊の間引き、多ければ多いほど報酬が出る。数によっては報酬上乗せしてもいい。頼んだぞ」
「もちろん案内は任せてください」
明日ガイドとしての初仕事が決まった。
目的地への下見は済ませてある。この冒険者たちの腕がどれ程か見せてもらうに丁度いい。
この国では魔法自体禁忌とされており、魔法を使用することイコール魔に繋がると考えられている。それでも神官職のランク上げや新しい祝詞を覚えるためには大神殿に行く必要があるためこうして冒険者はやってくるわけだが。
ギルドに提示されてる依頼も害獣の駆除や採集依頼、そんなものだ。
魔獣がいないとされているこの国でどれだけやれるか見物だな。




