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「A」  作者: みんと*
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56/64

第56章

・



ふふ、おれも、笑って。



そう現実は。



いつだって、決して、夢の中のように簡単にはいかない。



・



そう、おれはほんと。どこまでも。・・・・最期までほんと。・・・・



だめな、やつだけど。




「なぎ。」

 


「なんですか。・・・・」



「おれ、ね。いい方法、思いついたの。」・・・あの神父の、話を聞いて。



おれにもまだ。



できる事があるって。気がついた。



・・・できる事も、まだ、やらなきゃなんない事も、たくさんあるって、気がついた。




「おれが。守って、やるからな。」



「・・・。」



「ずっとずっと、傍にいてやるから。・・・・」



「・・・。」



「傍にいて、おまえを。見守ってて、やるからな。なんも。心配いらないから。」



・



少しだけ、震えそうな・・・腕を、伸ばして。



ぎゅっとなぎの、腕を掴んで、その身体を抱き寄せた。



ゆっくりと、力なく、抱き締めて。



よしよし、と。頭を撫でる。



「おれが、傍にいてやるから、大丈夫だからな、」



・



「・・・おまえに。好きなひとができるまで。」



「・・・。」



「なんてな、うそ。」




好きな人ができたって。



なんだって。おれはずっと。



おまえを守って、やるからな。



何があっても。



絶対におまえを、助けてやる。



・・・今度こそ、何があっても。絶対に。



・



「・・・・。」



「だから、心配、すんなよ。・・・・」



・



「おれが死んでも。」



「・・・。」



「なんも心配・・・すんなよ?」



・



そうだ。死んでからだって。



できる事がある。



・



あの時・・・あの神父が、おれに言った。



身体は火に焼かれても、心だけは、残るって。



・



・・・自分の愛する、人の胸の中に。



・・・必ず生き残るって・・・・



・



はじめ、



内心、そんなの、綺麗ごとだって、・・・疑うおれに、その神父は言った。



・



「証明してみましょうか。」



「・・・。?」・・・証明・・・?



・



一度、ゆっくりと、自分の前で、指で結ぶように、十字架を作ると。そっとおれに、近付いて、そのおれの、胸に優しく手を充てた。



・



「・・・?」



「わかりますか?」



「何が?」



「ここに或るもの。」



「・・・心臓?」



「そう、心。真心。」



「・・・。」



・・・心・・・・




!!



すぐに・・・いつもそこにある。父ちゃん、母ちゃん、町の人・・・・・



たくさんの、人の顔が浮かんだ。



確かに・・・そうだ、いつまでも。



あれから、そうだ、いつも。いつまでも・・・・父ちゃんと母ちゃんが、



この。胸の中に、いてくれているように。



・



おれの命を。



死んでからも、守っていてくれるように。



・・・できる。



おれにも。できる。



そう、確信した。・・・その時、だから分かったんだ。



思いついたんだ、おれだって、そうだ、同じだって。



死んだって・・・できる、



おまえを守る。事ができる。その・・・役目がある。



何なら死んでからの方が、上手くできそうな気がする。



必ずやる、もう・・・あんな、・・・ヘマはしない。・・・・



・・・やる。絶対。そう心に決める。



そしておれにもまだ・・・やり残した、事が、ある事にも気が付いた。あと少しだけ、



生きてる間、伝える事がある。まだ伝えてない事・・・いっぱいある。おまえに・・・・そう思ったら。




死ぬのも悪くない。



あと少し、こうして生きるのも・・・悪くない、はじめてそう。



思った。



おまえを守る、覚悟決めて。



そうしたら、・・・・そう思えたらおれは・・・心から。安心した。



あいつを残していっても。大丈夫だ・・・心から・・・そう思えたんだ。




・

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