回想少年ハ何思フ
月明かりに照らされ走る4つの影
いや、三人は走っているが、一人はもう一人に背負われている
元町「なんで俺が・・・おんぶしなきゃ・・・いけないんですか⁉︎」
元町は額から汗を滴らせながら言う
薊野「なんかごめんね〜、ほら、僕と深江君はほぼ重症だし、霧無ちゃんは女の子だしね」
薊野は先ほどまでのおぞましさはなく、飄々と話し続ける
薊野「それにしても、能力の暴走なんて聞いた事がないな〜」
まさにその通りである
過去数年間、能力の暴走なんてものはどの歴史書を見ても無かった筈だ
元町「まぁ、能力者の出現から10年も経ってないですしね」
その通りだ数年間まで能力者は漫画や映画の中の世界だ
ある日を境に世界は変わった
それは深江が小学5年生の秋
世界は大騒ぎだった
ニュースキャスター「今年観測された青い隕石は今夜0:00に地球に落下すると予想されています」
大きさも、どの惑星の物かも不明
そんな不安要素だらけの日に深江は母の実家に来ていた
豊かな田園風景・・・は無かったが、自然溢れる豊かな場所だった
隕石が落ちるまでは・・・
深江は当時、隕石なんて海に落ちる物と思っていたので呑気に山の中でセミを見ていた
幼少深江「ん〜、ヒグラシってどこにいるのかな」
一人でそんな事を呟きながらのんびりとした時間を過ごしていた
すると背後から女の子の声が聞こえる
少女「ここは危険よ・・・」
振り返ると眩いほど白いワンピースに対をなすほどの長さは腰まである黒髪
しかし今にも消えいりそうな儚い少女がそこにはいた
幼少深江「・・・え、君は?」
深江が問いかけると少女は藪の中へ消えて行った
幼少深江「なんだったんだろう?」
引き続きヒグラシを探しながら山の頂上を目指す。
中腹まで来た辺りで蝉の鳴き声が止まる
太陽が陰る、雲一つない青空なのに
太陽を見ると黒い点がどんどん大きくなる
青く煌めく物体がこちらへ向かってくる
幼少深江「ま、まさか隕石⁉︎」
途端に物体は破裂する
隕石の破片が目視できるものと出来ないものに分かれる
深江の目の前で落ちたのはほんのかすかに目視できるものだった
地震の様な振動の後に熱風が吹き荒れる
幼少深江「結構近くだよね・・・行ってみよう‼︎」
10分ほど走るとそこにはテレビでしか見たことのないクレーターがあった
しかし何かが違う
幼少深江「落ちたのになんで浮いてるの?」
青く煌めく手のひらほどの隕石はクレーターから50cmほど浮いていた
その眩さに誘惑され、近づく
少女「それに触れては駄目‼︎」
先ほどの少女が行く手を阻むが押し退けて隕石に触れる
熱い
暑い
アツイ
イタイ
ツライ
何かが頭に流れ込むようだ
少女は何かを叫ぶがもう耳には入らない・・・・・
気付けば祖母の家で寝ていた
あの後の事は覚えていないが、祖母曰く庭先でその辺にある石を掴みながら気絶していたとの事
その後は何とも無く、小学校を無事卒業した
異変があったのは中学の時
深江はいじめに遭っていた
中学に入ると変な上下関係が出来るあれだ
深江も例外ではなく、いじめは日々エスカレートしていく
いじめっ子A「おい、深江〜、お前目つきが悪いんじゃねーか?お?」
いじめっ子B「てか、お前目つきが悪過ぎて虫みたいだぞ」
やーい虫野郎‼︎虫野郎‼︎
その時、深江の腕は異形と化し、いじめっ子を引き裂いた
顔に血飛沫、耳には悲鳴、腕には異形
落ち着いた頃には腕は元に戻っていたが日常は壊れていく
教師、生徒、皆が青ざめている
その日から深江は親から離され、研究施設で毎日実験と普通の教育を施された
これがすべてのはじまりだった・・・・
そんな事を思い出していると
元町「深江」
元町に肩を叩かれ我に戻る
元町「着いたぜ、ここに雪鳴ちゃんがいるぞ」
目をあげるとそこには甲高い悲鳴と建物を穴だらけにしている触手があった
深江「あぁ、安心しろ、すぐにでも助けてやる」




