目撃者二名有リ 毒ヲ持ツガ制セナイ
廃墟の屋根に立つ二つの影
片方は異常、伊丹は歪み立ち尽くす
片方は異形、深江は痛み項垂れる
そんな光景を元町と霧無は見ていた
元町「あいつ、あんな能力を隠してたのかよ」
元町は友人が異形になる姿を見て、口を零す
霧無「そうですね、とてつもない力を感じます、しかし、薊野先輩は一体・・・」
勿論異形となる能力は気になるが、霧無はそれと同様に片腕から体液を流し続けている薊野に気を取られていた。
元町「薊野さんだっけ?あの人は助けないでいいのか?」
元町は倒れながらも血だまりを作り続ける薊野を見ながら言う
霧無「助けたいのは山々です、ですが薊野先輩は・・・まだ能力を解除してないんです」
元町は動揺する、あれだけの出血量でまだ意識を保ちながら能力を使い続けるなんて尋常じゃない
元町「・・・ちなみに今あの人を触るとどうなるの?」
分かりきった事だが元町は恐る恐る聞く
霧無「残念ですが、先ほどの人達の様になります」
霧無は打つ手無しを意味するかの様に右手の親指と人差し指でピストル型を作り、親指を顎に、人差し指を唇に当てていた
霧無「薊野先輩・・・一体何を目論んでるんですか?」
その言葉に応えるかの様に薊野の腕から血が噴き出す
屋根では二人の影が三日月に照らされ揺らめく
伊丹「ふっ、クククククク‼︎やはり‼︎君が‼︎そうだったのか、ナルホドナルホド‼︎」
伊丹は深江の異形の姿を見ながら高笑いを始める、うっとりと、舐め回すかの如く
深江「そうだ、俺もムカデだよ」
深江の一言で伊丹は冷めた表情になり、動きを止める
伊丹「なんだ、バレていたのか、ちなみに僕はタイオオムカデだよ」
深江「当たり前だ、あんたは俺と初めて会った時に言っただろ」
回想『キミノスキルガホシイ』
深江「あの一言で確信したよ、あんたもムカデの能力者だってな」
深江は淡々と語り続ける
伊丹「ふふふふ、やはり君は察しがいい様だね、僕の思惑通りだよ」
それを遮るかの様に伊丹は薄ら笑いを浮かべる
深江「ムカデの能力者は全員共通のスキルがある‼︎」
深江は声を大きくする
伊丹「その通り‼︎だからこそ‼︎」
伊丹は笑いながら続ける
深江「他人のスキルを奪うスキルだ」
伊丹「キミのスキルが欲しいんだよ」
2人が声を重ねる
深江「・・・一つ聞いてもいいか?」
深江は至って真面目な表情で伊丹を見据える
一方伊丹は
伊丹「いいよ、僕に勝てたらね‼︎」
伊丹は跳躍し、足をカミソリ状に変えながらかかと落としを深江に叩き込む
ドス‼︎
鈍い音をさせながらも深江は立ち尽くす
深江「分かった、なら受けてたとう」
深江は黒く固くなった腕で受け止める
伊丹「・・いい・・・・いいよぉぉぉぉ⁉︎君の能力を全て奪い取ってあげるよ‼︎」
伊丹は笑顔で半狂乱になりながらも腕をノコギリの様な形にしながら襲う
深江「腕にオオカマキリ、足にシナスッポンか、防御を捨てているぞ」
深江は腕を胸の前にクロスさせる
伊丹「ほらほらほらぁぁぁ⁉︎守ってばかりじゃ倒せないよぉぉぉ⁉︎」
深江の腕の装甲に亀裂が入る
深江「はっ、これでいいんだよ戦闘狂」
その瞬間、深江は腕の装甲から液体を飛び散らせながら笑顔の伊丹の口内に拳を叩き込む
伊丹「グッ、ゲボォ‼︎馬鹿な⁉︎それはただのクロカタゾウムシの装甲じゃないのか⁉︎」
その一撃で伊丹は吐血しながら問いかける
深江「クロカタゾウムシの装甲なら初撃の蹴りで破壊されてるよ、これはハリガネムシの装甲だ、そして装甲の下にはツチハンミョウのカンタリジンを忍ばせてあったんだよ」
深江は歪んだ笑みを浮かべながら説明する
もうその瞳には光など無い
深江「まぁ、しばらくすれば毒の効果で吐血するから安心していいよ」
深江はこれで勝負がついたと思い、安堵する・・・・・が
伊丹「痛い、痛い?私は痛い‼︎
素晴らしい‼︎
この痛さは僕が‼︎
いや私が‼︎
俺が‼︎
生きている証‼︎
まだ死んでなどいない‼︎」
伊丹はちぐはぐな言葉を血まみれの歯茎を剥き出しで言い放つ
伊丹「さぁ、もう終わりかい?僕を楽しませてくれよぉ〜」
その瞬間、深江の腹部に激痛が走る
深江「・・・馬鹿な、いつの間に」
深江の腹部には槍の様な物が刺さっていた
深江「アンボイナガイだと⁉︎」
伊丹「毒を持って毒を制す、まぁ、毒によるけどね、君も長くはないよ」
伊丹はニヤァと笑顔で歪めながら語る
ここまで読んで頂きまして誠にありがとうございます。
如月 上下です。
個人的に好きなキャラは蟻塚ですね、よろしくお願いします




