第3話
『ご主人! どうですかどうですか! 記念すべき初イベント!』
端末をへし折りたい気分だが、あとあと面倒なことになりかねないため、ここはグッと抑える。
『私は、もう少しスリルがあるイベントがいいと思ったんですが、夏奈さんもいましたし、抑え気味のイベントにしました! どうです? スリルありました?』
狂ってやがる。
毎回、こんなことに巻き込まれていたら、いくつ命があっても足りない。それに夏奈まで巻き込むなんて...!
『(選択-1ですからね。あの選択肢では最悪をとりましたよ、ご主人。 身内を巻き込むと後々なくことになります...)』
「(それにしても、トラックが突っ込んでくるときにヒスイが言ったことってどういう意味なんだ...?)」
移動速度-1。運-1。何かの能力値だろうか。
「なあ、ヒスイ。お前が、さっき言っていた補正によりなんとかってなんだ?」
俺のブレザーの裾を少し摘み、泣いたことで腫れた目を覆うようにうつ向き、歩く夏奈に気づかれないように小声で無線イヤホンに話しかける。
『簡単に言えば、ご主人の基本的な能力値です。感情やその日の体調でパラメータは変わりますし、絶対的値ではありません』
「じゃあ、移動速度-1、運-1ってのは?」
『不意に起きたイベントなので、移動速度-1。運は、気分です』
気分で人の運勢を下げるなよ...
『(...ご主人は基本的な能力値が高めですからね。これからどういう動きをするのか楽しみです)』
「なあ、これからあんな事が起きる毎日になるのか?」
『いえいえ、ご主人の選択肢しだいでは、回避することもできますよ』
回避。 その選択肢はどのタイミングでくるのだろうか。
「選択肢ってのは、どれぐらいでゲームに関わるんだ?」
「日常の些細なことで変化します。あと、これがご主人の能力値です」
ヒスイがいた画面から、パッと俺の能力値らしい表示される。
「常に能力値は変化します。激しい運動の後や、寝ているときなどでもですね」
筋力:12、敏捷性:11、体力:18、身長:177cm。知性:9、精神力:18、外見:13、教養:14、正気:17、幸運:17、耐久力:c3h¥。...c3h¥?
「なあ。これ文字化けしてるぞ」
『本当ですね。今度には改善しておきます』
「最高値はなんなんだ?」
『20です。ご主人は精神力と体力が高いですね』
「知性9って、低くないか?」
『ご主人の中間試験や期末試験。すべて見せてもらいましたけど、あまり良い点数ではありませんでしたね...』
「まあな...」
1人で少し落ち込んでいると、夏奈が会話(?)に入ってきた。
「お兄ちゃん、誰かと電話してるの?」
「ん? まあな。夏奈はもう大丈夫なのか」
「うん。もうすぐ学校だから、携帯はポケットに入れた方がいいよ」
ずっとスマホもどきを見ながら歩いていたため、周りを見れば、かなり多くの生徒が歩いている。
まだ、少し歩くが、学校の校門が見える。
「そうだな。そろそろ風紀委員のやつらの監視下に入るな」
「お兄ちゃん、風紀委員は敵じゃないよ...」
『(楽しそうですねえ。私も会話に入りたいです... っとダメですよヒスイ。私は孤高なる創造者のGMですから)』
見えてきた。俺と夏奈が通う、『私立灘篠高等学校』が。




