↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

76/78

第七十五話 解き放つ竜刃

「くそっ! なんて数だ!」

「倒しても切りがないわ!」


 海から次々に現れる魔物。

 戦闘に参加している冒険者達は、苦戦を強いられていた。


「ご心配なく!」


 が、それは彼女達が居なかったらの話だ。

 押しきられそうになっていた冒険者は、目の前で魔物が黒焦げになる様を見て、固める。

 そこに降り立ったのは、黒い炎の剣を持った少女レンだった。


 レンは、冒険者に怪我がないことを確認して、次なる敵を求めて駆けていく。

 圧倒的に力の違いを見せつけられた。明らかに子供なのに、全てが一撃で魔物達を撃退している。


 レンだけではない。

 きらめも、共に戦っている冒険者達を驚かせる攻撃ばかりを放ち、魔物達を撃退していた。


「ちょいさー! はいはい! このスマホに撮られた者は時間を凍結させられるよ!」


 などといい放ち、魔物を一蹴りし、背後から襲ってきた二足歩行の魚魔物をスマートフォンで激写。

 本来ならばただ写真を撮るだけの機能だが、撮られた魔物が本当に凍結したかのように動かなくなってしまう。


「うーん……やっぱり派手な魔法で一掃した方がいいと思うんだけど」


 動かなくなった魔物は、冒険者の一人が倒した。その後、きらめは強力な魔法で一掃しようと考えるが、こうも味方が多いと巻き込んでしまう恐れがある。

 ここまでの集団戦は初めてなため、中々思うような戦えず頭を抱えるきらめ。


「仕方ない! 衣装チェンジで一体ずつ確実に倒そう!」


 それでも、対応力が高いきらめはすぐ気持ちを切り替えて、アプリを起動する。

 

「変身コード【槍姫】!!」


 刹那。

 スマートフォンが輝き、きらめを包み込む。光は一瞬にして弾け、再び姿を現したきらめは肌に張り付くような青い衣服を纏っていた。そして、自撮り棒を取り出しスマートフォンを縦に装着し、タップ。


 先端から鋭く尖った刃が展開し、全体的に青かった衣服には赤い線が肩から足の爪先まで伸びる。

 最後に、髪型をポニーテールにして、どや顔を作る。


「いざ、魔物退治へ!」

「わー、きらめお姉ちゃん。また変な格好してる……」


 槍一本で駆け抜けるきらめを横目で見ていたミィヤは、怪我を負った者達の治療を行っていた。

 戦いが始まって早くも十分が経っている。

 海へと視線を向けると、こことは違い一際激しい衝撃が起こっていた。その度にこちらへ波が襲ってくるが、最初の大波ほどではない。


「ライカさんが苦戦してる? やっぱり海王族って相当強いんですね……」

「ああ。ありゃあ、人間の域を越えてるな」

「ウゴロさん?」


 いつの間にか隣に立っていたウゴロは、腕組をしながらライカの戦いを見ていた。

 これほどの戦場だというのに、この余裕……さすがだなぁ、と思いつつ、ミィヤは回復に専念する。


「あれが海王族の本当の戦い……もし、あの化け物が本来の戦いができていたら俺達は……」

「ウゴロさん! 魔物は半数は撃退しました! ですが、まだ勢いが」

「大丈夫だ。あの子が今、大将を倒してくれる。それまで堪えるんだ!」

「は、はい!!」



・・・・・



「さあ、どうしたのかしら! あなたの実力はそれが全力なのかしら!!」

「そんなわけ!」


 とはいえ、この姿での戦闘はまだ二回。

 わからないことばかりで、全力を出そうにも出せない。今は、スキルで何とか戦っているけど……やっぱり海王族。

 このままじゃ攻めきられる。


 更に戦っている場所は海。

 スキルを駆使していると言っても、まだ使いこなせていない。

 対して、相手は海での戦いに慣れている。

 戦況はかなり不利だ。


「私も遊んでいる暇はないの!」


 刹那。

 魔力が高まり、周囲から四本の水柱が現れる。


「〈スパイラル・アクアフォース〉!!」


 水柱は、螺旋の力を得て僕に襲いかかってくる。

 ただの水柱じゃない。

 魔力が込められている。どうやら、彼女の意思のままに動くようだ。


「くっ!」


 僕は水の大剣を一振りし、切り裂こうとするが逆に押し込まれてしまう。危険を察知し、大剣を手離して後方へと跳ぶ。


「逃がさないわ!」 


 が、それでもナナシィの攻撃は止まらない。

 海を巻き上げながら、四方から同時に攻めてくる。このままではやられる。

 

「てやぁ!!」


 反射的に、袖に収納していた剣を抜き放つ。

 鞘に収まったままだが、これに何かを感じたんだ。


「なっ!?」


 僕の勘は当たった。鞘に収まったままで、四方から襲ってきた水柱を全て切り裂いたのだ。

 一瞬。そう、一瞬だったけど……鞘からオーラのようなものが漏れていた。あのちょっとのオーラでここまでの威力が出るなんて。もしかして、鞘が抜けないのは強大すぎる力を封印しているから?


「驚いたわね……まさか鞘に収まったままの剣で切られるなんて」


 どうやら、水柱と共にナナシィの肌も少し切り裂いていたようだ。

 頬から赤い血が垂れている。

 しかし、海王族の回復力が凄いのか。ぐいっと少し払っただけで傷口が塞がってしまった。


「やっぱりあなたは只者じゃない。あなただけは……ここで倒さないいけないようね」

「本当に話し合うつもりはないんですか?」

「愚問ね。もう後戻りはできないわ。私は、ハミッテを破壊し、住みかを奪った人間達を海の藻屑にするのよ」


 ……どういうことなんだ? 目的が変わっている。確かにハミッテを破壊するというところは変わっていないけど。

 かなり物騒な目的になっている。

 戦っている中でテンションが上がって、目的を変えた? いや、そうは見えない。彼女はいたって冷静に見える。


「どうしたのかしら? 来ないのならこっちから行くわよ!!」


 先程よりも大きく高めた魔力を槍を通して、海へと叩きつける。

 すると、彼女の足元から海が隆起する。

 大波だ。しかも、最初なんかよりも比べ物にならない大きさだ。


「〈海王の天災〉……これはかつて私達を目の敵にしていた者達を島ごと一掃した超級スキルよ!!」

「超級スキル……」


 上級の上にあると言われる階級。

 努力したからと言って扱えるものではなく、本当に選ばれた者だけにしか扱えない必殺とも言っていいスキル。

 

 大波は、圧倒されている僕を見下すようかのように隆起し続け、形を変えていく。

 まるで海の化け物とでも言えばいいのか。

 逃がさないとばかりに両腕を広げた人型の大波。

 これには浜で戦っていた者達も圧倒され、足を止めてしまっていた。


「あなたとの戦いはあまり長引かせたらまずい気がするわ。だから……これでさようならよ!!」


 まずい。相手が超級スキルなら、上級スキルで対抗できるかわからない。今、自分が使える力でどうにかできそうなのは……。


「これしかない」


 僕は、いまだにオーラが漏れ続けている剣を構える。

 お願いだ……僕に、皆を護る力を!

 願いを込めてぐっと鞘を握っている手の力を強めた刹那。


 かちゃん。


 何かが稼動したかのような音が響いた。

 どうやら、あの隆起していた部分がくっついていた。それだけじゃない。音が聞こえる。

 コオォ……と、息をしているかのような。


「もしかしてこれで」


 考えてる暇はない。もし、刃を解き放てなくても、やるしかないんだ。

 ぎゅっと束を握り締め、迫り来る大波の化け物へと抜刀した。


「抜けたあっ!!!」


 喜びの声と共に、解き放たれたのは白竜のオーラ。

 襲いかかってくる大波を切り裂かんと……突貫していく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。