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第六十四話 新衣装について

「変身できたけど……まさか衣装も髪型も変わるなんて」

「和服! 脇! 太股! ポニーテール! 前の暗殺者風の格好もよかったけど、今回の姿もいい!」


 だからって、強く抱き締められると息ができないんですが……。

 興奮するきらめさんを引き剥がし、僕は改めて自分の体を確認する。


「露出が多い……」


 前のは極度に露出が少なかったため、あまり気にしていなかったが、今回のは首筋に肩、脇と肌がかなり露出している。

 正直恥ずかしい。

 なんでこんな格好になってしまったんだろう……じいちゃん。本当に僕の力って何なの? まさか他にも筒があって、その度に格好が変わるのか?


 一体どれだけの筒があるっていうんだ……想像しただけで頭痛が。

 しかし、今回の武器は鞘に収まっている。

 前回のむき出しだったけど。まあ、むき出しになっているよりは鞘に収まっていた方が僕としては安心できる。何せ、自分の息子がむき出しになっているんだから。


「女になるのも驚いたが、まさか強さが桁違いに変わるとはな」

「わかるんですか?」

「ああ。今のお前から滲み出ているオーラは、俺が若い時に戦ってきた強者と同じ……いやそれ以上だ」


 やっぱりウゴロさんは、ただ者じゃない。ただ僕を見ただけで強さが桁違いに変わったことを見抜くなんて。これが、経験による洞察力ってやつなのか。


「ウゴロさん。他の人達は……これと似たような筒をじいちゃんから受け取ったんですか?」

「……多分な。俺達は、旅を終えて一人ずつ故郷に立ち寄って別れた。そん時にラゴンの奴が包みを一人にひとつ餞別として渡していた」


 じゃあやっぱりこれからは、筒の数だけ……ん? なんかおかしくないか。じいちゃん達が旅を終えたのはもう何十年も前だ。

 僕の父さんはじいちゃんが旅を終えてから結婚して産んだって聞いたことがある。だとすると、やっぱりおかしい。だって、じいちゃんが仲間に託したこの筒は僕の力を解放するもので、それじゃあ、まるで僕が産まれるのがわかっていたみたいに……。


「ち、ちなみにこの筒は……その使ったことは?」

「いや、ねぇよ。ラゴンが時がくるまで大事に仕舞っておけって念押ししてきたからな」


 感覚でわかる。この筒は僕が使わないとなんの意味もないものだって。念のためステータスを確認……オールS。ここは変化なし。次はスキルだ。


「……変わってる」


 スキルの方は大分変わっていた。前の姿が炎、雷、闇の三属性が適正だったが、今回のは適正は風、水、鋼となっている。

 まさか格好によって適正属性も変化するのか? そんなことあり得るのか? 適正が変わるなんて……普通じゃありえないことだ。


「どうしたんですか? ライカさん」

「適正属性が変わってる」

「え? あ、ありえません! 増えるならともかく変わるなんて!」


 ミィヤの反応でもわかることだが、これまで属性が増えることがあっても、僕のように属性が変わるということは今までなかったことだ。これは、世界の常識。

 つまり僕は非常識な存在ってことになる。


「〈ウィンド〉」

「わぷっ!? こ、これって風属性の?」


 そう、いつものライカならないはずの風属性スキルだ。僕が使ったのはただそよ風を起こすぐらいのものだが、他にも初級から上級のスキルが数多ある。

 

「信じられないことですが、本当に変わってしまったみたいですね」


 と、乱れた髪の毛を直しながらミィヤは頷く。


「でも、悲観するようなことじゃないよ。だって筒の数だけ衣装チェンジができるし、適正属性も変わる。これだけわかったんだから、前進したってことでしょ?」


 ね? と、僕の頭を撫でてくるきらめさん。


「そうですよ! 主様! 謎は増えましたけど、前進したのは確かです!」

「きらめさん……レン……ありがとう。確かに謎は増えたけど今までと比べたら前進した分、気分的にいい!」


 今までは、僕の力、筒についてはまったくといっていいほどわからないことばかりだった。けど、今はわかったことがある。それだけで、僕は前に進める!

 とりあえず、筒はひとつだけじゃない。ウゴロさんの他にも筒を持っている可能性が高い。そして、筒の数だけ僕は格好が変わり、適正属性も変化する。


「ウゴロさん。この筒」

「おう。持っていけ。どうやらラゴンがお前のために用意したものらしいからな」

「ありがとうございます」


 これで、これからの旅にも身が入るというものだ。さて、落ち着いたところで、これからどうするか。

 朝食をまず食べて……それからハミッテの観光、かな?


「二人とも。そういえば、朝食はできたの?」


 どうやら僕の声に慌てて来たみたいだけど。


「あっ」

「そういえば」


 思い出したように台所へと向かう二人。

 僕も気になったので向かうと……案の定魚を焦がしていた。火事にはならなかったけど、ちゃんと火は止めてから来ようと注意しつつ、僕も参加し改めて朝食の準備へと取りかかった。

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