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異世界デリバリー ~カツサンドからはじまる異世界無双~  作者: とんぽーろ


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 「褒美と要望」

「陛下、つきましては金銀といったとても高価な金属ではなく、翡翠(ヒスイ)、真珠、アメジストなど王国の領内で比較的採取されやすい宝石で作られた宝飾品を宝箱一箱分賜りたいと存じます。」と率直に申し上げるタック。


 驚く王様とアレックス、メリンダ他一同。


金・銀といったとても高価な金属で作られたものではなく、それらより多く手に入りやすい宝飾品とは


「その理由は・・・」と問いただす王様。


(もっと、高いものを要求すればいいのに)とタックをにらむメリンダ。


「この王国ではとても豊富にあり、手に入りやすい鉱物で作られた宝飾品ですが、私の故郷ではとても希少性が高く、市場で高く売れることが見込まれるので。」と述べるタック。


続けざまに、


「金・銀などは私の故郷ではその土地の領主様が一括管理しており、一庶民である私が自由に売買をすることは出来ません。また、とても重くて運搬も大変ですし。」


「あい、わかった。そういった金銀より手に入りやすい宝飾品を多めにとらせよう。」


と、述べたついでに今回、紅一点であるメリンダの方をチラ見した王様は、


「金銀がついた豪華な首飾りをこちらの御婦人にも授けよう。」と付け加えた。


それまで少し不機嫌そうだったメリンダの顔が一気に笑顔になった。


「あっ、それともう一つ・・・」と追加の要望を王様に申し上げようとするタックに、


「陛下の御前で更なる要望とは無礼であるぞ!」と叱責する一人の重臣。


「構わぬ。何事か?」と一応聞いてみる王様。


「陛下のこの偉大な城下町の中央広場、北西、南西、北東そして南の正門前の5箇所に“ポスト”と“掲示板”を設置させていただきたく存じます。また、それらを警備しながら広いこの城下町を区分化して警備する❝コーバン❞を設けていただければ光栄でございます。」思わぬタックの提案に驚きを隠せないその場の一同。


続けてその意図を説明するタック。


「まずはお店の商品の宣伝などを掲示したいと考えております。」


掲示板やポスト自体は木製の普通のもので構わないとしたものの、それ自体を傷つけ壊したり、盗んだりしたものを罰する決まりも作ってほしいとのタックのアイデアだった。


掲示板はともかく、“ポスト”と❝コーバン❞は如何なるものかと問うその場の一同。


まずは❝ポスト❞について説明をはじめるタック。


郵便の制度がまだなく、王様はじめ、一部の裕福なもののみが使者を遣わし文書を送り合うこの異世界。


「“ポスト”とは、この町の地域一般の住民の意見や要望を紙に書き、投函してもらう設備です。」と簡潔に説明した。


タックには密かに考えがあった。


城内5箇所に設置される予定のポストに近所に住む各従業員が毎朝、投函されていないか確認と回収しメリンダの料理店に出勤すると。幸い店の従業員たちは正門と中央広場を除いた3箇所に近い場所からメリンダの料理店まで通っており、朝方それぞれポストの中身を回収し、そのリクエストに応じた時間にお客に届けるいわゆる❝デリバリー制度❞を作ろうと考えていた。


 その注文を元に同日、または指定の日にD級以下の冒険者に❝副業❞として配達してもらおうと一人で考えていた。


 (何で俺たちにそんな大事なことを事前に相談してくれないんだ。)と、驚きつつも少しタックを睨みつけるアレックスに対し、タックを全面的に信頼し感心するメリンダ。


 最後に、❝コーバン❞について述べるタック。


 「これは、私どもの商売もそうですが、この城下町自体の治安をよりよくする一つの仕組みです。」と切り出すと、

「現在は、陛下の配下の警備団の皆さま方がこの広い城下町を巡回して町の治安を保たれているようですが、あまりにも広く、野盗などによる路上強盗や殺人といった凶悪犯罪が起こった際にすぐに急行することが難しいかと思われます。そこで、この王城が有する広い城下町の最も住民が集まる中央広場をはじめ、北西、南西、北東、南東にそれぞれ警備兵が数名❝24時間常駐する施設❞を建設していただければ幸いでございます。」と申し上げるタック。そこで先ほどのポストの警備もついでにお願いしたいとの考えだった。


 「全くもって言語同断!!王城の警備兵団をなんだとこころえておるか!!」と騒ぎ出す一部の家臣たち。


 「ふ~む。」と少し考えながらも慎重に言葉を述べる王様。


 「確かに妙案だ。ただ、しかし城外の警備もしつつ、各所で❝城内❞の警備をするとなるとその施設の建設費とそれに割く人員の予算が・・・」と考え込む王様と家臣たち。


 「ギルドに募集をかけてみては・・・」と提案する者も現れた。


 「確かに、中級冒険者でも報酬が多少安くても引き受けてもらえるものがいるかも。」


「確かに今まで誰も考えつかなかった素晴らしいアイデアだ。」と述べる王様。


「だが、そちたちよ、その“ポスト”なるものをそちたちの店のためだけに使わすのはどうか。」と少しためらったように話す王様。


そこまで考えていなかった。


「そうですね。“ポスト”をはじめは王族の皆様への城下の民からの“意見箱”として、今後は他の事業者の方々も私どもと同様に共同で扱えるしくみを作ろうかと考えている所存です。」と続けるタック。


「城下町の民たちの声は、普段はおそれ多くて陛下に意見を述べることもできません。しかし、普段の城下での生活において匿名でも正直に改善点などの意見をあげることができれば、この王城の更なる発展が期待できるのではないでしょうか。」


(おい、それは流石に王様に対して厚かましすぎるだろ!)と目配せで自重するように促すアレックスとメリンダ。


「度重なる陛下への無礼で厚かましすぎる提案の数々。臣は我慢できません。この者に厳重な処罰を!!」と声を上げる老臣達も現れた。


「よい、よい。」と寛大な態度で応える王様。


「確かに、城下の町のことは朕には普段はよくわからぬ。民たちが普段、何を羨望しているのか、何を改善してほしいのか。」


文官たちを玉座から眺めて、


「その方たち、文才にたけておるであろう、民達から集めた意見書を選別し、罵詈雑言や“無意味な”書類は破棄し、今後朕に見せてもらえぬか。」と王命を発した。


「謹んでお受けいたします。」異議なく賛同する文官たち一同。


手始めに、ポストに投函されたものはタックたちのお店への注文書と王城への意見書を分別し配送することに決まった。


「大変、ありがたき陛下の御言葉、恐悦至極でございます。」と、頭を垂らし陛下に敬意を示すタック。


それで、今回の王様への謁見は終了した。




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