「タック王様に謁見する」
王宮の王族への拝謁する日程が決まった。
アレックスがダンジョンのクエストからいつものように肉をぶら下げて帰ってきた。
先日あったゴロツキたちとのこと、マークとエステラという2人の店の用心棒が加わったこと、近日中に王宮にあがり王族に拝謁することが決まったことなどを伝えた。
アレックスは2人の若き用心棒兼従業員を眺めていた。特に、細身で若くて美しいエステラに対して、ぼーっと見惚れていた。
メリンダがレードル(おたま)で軽くアレックスの頭を叩いた。
「あなた、あの若い女性の武人さんに間違っても色目使ったり、手を出したりしちゃだめよ。相当な武術の達人みたいだから」と釘を刺された。背筋が一気に震えあがった様子のアレックスに対して笑うメリンダとタック。
王宮に参上する日が来た。店を臨時休業にしてマーク一人に留守を頼んだ。
精一杯、正装して王宮に向かうタック、アレックス、メリンダの3人とそれを護衛するエステラだった。
王宮に通され、王の間で緊張して玉座に頭を下げながら王様のお越しを待つ3人。
少しして左右に王族一同ならびに重臣たちが並び、最後に王様が玉座に座られた。
「苦しゅうない、そちたち面をあげよ。」(決まり文句キター!)と、心の中で感動するタック。
普段なら絶対に会うことがない王族と重臣、貴族たち。下手なことをいわないように緊張していた。
「昨今、城下の市井でそなたたちが作る軽食、❝オークカツサンド❞なるものがとても美味であると王宮内でも評判が広がっている。是非とも朕にも食させてもらえぬか?」と平然という王様。
「陛下、もちろん構いません。本日は多く作り献上しに参りました。」とアレックスとタックが口を揃えて語った。
「なりませぬ陛下!まずは我ら臣下どもが毒味を・・・」と王様への忠誠心からかそれとも我先に食べてみたい好奇心から出たのか家臣たちの言葉だった。
今にもヨダレがたれそうな王様を横に、毒味役の者がひと口、臣下がひと口と食べていく。
「まったく、こんな下々の庶民が口にするようなもの。。」とひどい文句を先ほどまでブツブツと小声で吐いていた一部の臣下たちの表情がゆるみ笑顔となった。
余にも美味しそうに口にする臣下たちに苛立つ王様が
「朕にも早く!」と側近に急かしているのが少し離れたタックたちのいる下段からも見て取れた。うつむき吹き出しそうになるアレックスをメリンダが肘でつつき(陛下の御前で、不敬罪で捕まるよ。)と合図した。
やっと口にいれることが出来、満足に完食した王様が、
「うむ、噂に違わず誠に美味じゃ!何か褒美をとらすぞ。」と告げた。




