「タックはじめて店内でバトル」
ある日、パーティメンバーと共にアレックスがクエストでダンジョンに向かっていたときに、屈強なゴロツキが数人メリンダの店に押し入ってきて、メリンダはじめ雇っている怯えた若い女性従業員たちをなめまわすように眺めながら大声で叫んだ!!
「誰の許しを得てここで商売してんだ!! 俺たちレッドジャッカル組合の許しを得ているのか!」
「レッドジャッカル組合? 聞いたことないな。。」と奥で食材を運び入れていたタックがゆっくりとだが店の中へ入ってきた。
「おめぇ、誰だよ。払うものを払えよ!月で金貨15枚だ。払えなければ。。。」と、メリンダと若い女性従業員たちを再度いやらしい目つきで眺めながら叫んだ。
アレックスから護身用に事前に軽い長剣を貸してもらっていたが、当然実戦の経験がなく、ましてや人に刃を向けたことがなかったタック。
不器用にゴロツキたちに剣を構えた。
(システム、何か方法はないか)と密かに念じた。
❝身体防御力強化、攻撃力アップ❞と大いに上がった防御力と少しばかりの攻撃力アップ。もともと各能力レベルが低かったタックにとっては大したものではなかった。
ぶるぶると震えながら長剣を握るタックに、嗤いながら近づいてくるゴロツキたち。
「おい、こいつ震えているぞ・・はは」と高笑いするゴロツキたち。
「こっちから行くぜ!」とゴロツキたちから攻撃してきた。
防戦一方のタック。身体強化のおかげで、剣で衝撃を受けて腕がより震えたりするだけですんだ。
「オラオラ!」と余裕で剣や棒を振りかざしてくるゴロツキたち。
ちょっとした隙にとうとうタックは持っていた長剣をはじかれてしまった。
「もう、後がないぜ。」と余裕で笑うゴロツキの一人。
覚悟を決め、両腕を失う覚悟であとずさりするタック。
その瞬間、店の外から矢が一本とんできてゴロツキたちのこめかみのそばを通りすぎ、店の奥の壁に刺さった。
「どこのどいつだ!」と振り向き叫ぶゴロツキたち。
突如、立派に武装した一団が入ってきた。
「王命である。この店を荒らす輩どもをすぐさま拘束する」と。
「はぁ?何だおめえらは。」といった途端に見せつけられた紋章がはいった護符と重厚な鎧に彼らが王宮の護衛兵と有名な将軍だとすぐわかった。
「すいません、、旦那、私らここでメシを注文しにきただけですよ。。へへ」とそれまでの強気な姿勢から正反対の腰が低い態度をとるようになったゴロツキたち。
「メシを食べに来ただけのやつが、なぜ剣を振り回しているんだ!」と一喝する部隊の隊長。有無を言わせず、ゴロツキたちを捕縛し外へ連行していった。
「大丈夫か?」と腰が抜けそうになっていたタックを起こしてあげ、自己紹介をはじめる隊長。
「俺はロジャー。普段はこの街の警備兵団の団長をして巡回している。」と一方的に紹介されたので、お返しに「タックです。」と簡単に自己紹介した。
変な方言のようにも聞こえるタックの言葉に少し笑いをこらえている様子のロジャーだったが、本題を思い出しタックに告げた。
「お前の店の❝オークカツサンド❞だったか、王族の皆様御一同の耳にもすぐに届いているぞ、今すぐにでも召し上がってみたいと。」
「王命!!」と喜び飛び上がるメリンダと従業員の若い女性たち。
いずれは、こんな風になるだろうとラノベや異世界転生アニメでの王道の展開だと十分に知っていたが、まさか本当に自分にも実際に起こるとは。
急いで、厨房で王族に謙譲する人数分のカツサンドのしこみに意気込む従業員たち。
その間に、ロジャーが続けてタックに話す。
「ずいぶんと店が繁盛しているようだな。こんなゴロツキたちがまた別に今後やってくるかもしれないから、常時この店を守ってくれる警備兵を2,3名つけてやるよ。」と、一方的にも思える護衛兵団団長のロジャーによる提案。
確かにいつもアレックスに守ってもらうわけにはいかないし。。。
「助かりますが、他の一般のお客さんが怖がるような屈強の❝いかにも❞といった重兵装騎士みたいなのは勘弁してください。」と上目遣いでお願いするタック。
「は、は・・・わかった。」と高笑いするロジャー。
と目配せすると、細身の若い男女2人が目の前に現れた。
2人はそれぞれ男がマーク、女がエステラと名乗った。
2人とも美男美女だが、細身な見た目にちょっと不安そうなタック。
それを見ていたロジャーは
「何か不安かタック。でもな、この2人は見た目と違って王宮の中でも随一の武術の達人だぞ。」
「ちょっと試してみるか。エステラにそこの棒で襲い掛かってみろ。」と、ゴロツキが持ってきた棍棒を渡した。
見た目がか細い女性に対して凶器である棍棒を振り下ろすことにためらうタック。
「別にいいから。」笑っているロジャー。
「それじゃいきますよ。どうなっても知らないですよ。」とおもいっきいり棍棒を振りかざすタック。ひらりとかわしたかと思うと、エステラはタックの棍棒を持つ手を払いのけた。
「いたたた。」攻撃しようとしたタックが逆に傷つけられた。おそらく、マークという男も相当強いだろうと今回思い知らされた。
「2人とも若くて容姿端麗だから店の宣伝にでも好きに使ってくれ。」ロジャーが笑っていった。




