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異世界デリバリー ~カツサンドからはじまる異世界無双~  作者: とんぽーろ


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11/17

「新商品の開発」

翌日から『グルメコンペ』の件が早速、広い城下町の至る所の掲示板に掲示された。


王様の好物が“辛いもの”だと知った町の大小様々な飲食店が、ポストの共有の件と使用量の無償化をかけて競って新商品の開発に乗り出した。あるものは唐辛子に似た赤い植物を使った料理を、またあるものは塩と胡椒をふんだんに使ったものをと各店が独自性に富んだものを開発しているようだった。


一方、メリンダの店ではアレックス、メリンダそしてタックの3人が王様とすでにデリバリーサービスを頻繁に利用している常連客の要望に答え、新商品の開発に乗り出し始めた。



「おい、タックよぉ」と考え込んだ調子で切り出すアレックス。


「新商品の開発って、何か考えとかあるの」と同様に頭を悩ますメリンダ。


「あるよ!とっておきのが!」 と一人元気なタック。


「ちょっと、見てこれ!」 とタックが金属製の“おかもち”から一品取り出した。


『なんだ、これは!?』 と口を揃えて驚くアレックスとメリンダ。



楕円形のお皿の上に白い穀物のようなものが乗っかっており、その上にジャガイモ

や人参、肉などが見て取れるが、アレックスとメリンダの二人が一番驚いたのは、その白い穀物の上にかかっている“茶色い物体”だった。


「うわっー!これ、食えるのか?」と怪訝な表情のアレックスとメリンダ。


薫ってくる香りはなかなか良いのだが、問題はその見た目だった。二人にはどうしてもその上にかかっている“茶色い物体”が“アレ”に見えて仕方なかったらしい。


              『カレーライスって言うんだ!』


と胸を張って自信たっぷりに紹介するタック。


しかめっ面が収まらないアレックスとメリンダ。


「ちょっと食べてみてよ!」と木製のスプーンを添えて差し出すタック。


メリンダに袖を掴まれ、先に試食するように促されるアレックス。


スパイスが効いたその匂い自体はアレックスを誘惑してやまないのだが、問題はやはりその見た目だった。メリンダに促されるままスプーンを手にとり、白い穀物とその上にかかった“茶色い物体”をすくい上げた。


目をつむり、一呼吸したあと思い切ってそのスプーンを自らの口の中に突っ込んだ。

夫の“勇気ある行動”にそばで固唾を飲み、反応を見守るメリンダ。



            『うまい!!なんだコレは!!』



と、感嘆の一言を発したあと一気にスプーンでカレーライスをむさぼるように食らいつくアレックス。一皿をあっという間に食べ尽くした途端に、「もう一杯、食べたい!」とおかわりを要求するアレックス。こんなことがあろうかと、厨房の奥で寸胴に沢山仕込み現代日本から持ち込んでいたタックだった。


すぐさま、店の厨房からアレックスのためにお代わりを用意し振る舞うタック。飛びつくようにカレーライスのおかわりを頬張るアレックス。


夫であるアレックスがあまりに美味しそうに勢いよく食べる様子を見て、


「私も食べてみたい!」と、声をあげるメリンダ。


「メリンダにはこれを食べてもらおう!!」と言いながら厨房へ向かったタック。


少しばかりの時間またされた挙句、メリンダの前に出されたのはアレックスのものとは少し違い、カレーライスの上にオーク肉のカツが載っていた。



「これ、オークカツサンドで使っているオーク肉のカツじゃないの!!」と驚くメリンダ。早速、木製のスプーンを手にとり一口カツと一緒に口に運んでみた。


『なにこれ!ほんとに美味しい!!』


しっかり火が通って茹でられたジャガイモや人参などの野菜もカレーによくあっていたが、それよりも何よりいままでウスターソースやオーロラソースをかけてパンに挟んで提供したいたオーク肉のカツが茶色いカレーソースをまとい別の味になりメリンダの舌を魅了した。


そばで勢いよくカレーライスを頬張っていたアレックスの手が一瞬止まった。

口の中にまだ沢山のこり頬張っていながら、


「おい、タック、ずるいぞ!なんで先に俺に食わせない!」とはっきりと言葉にならない調子で文句をいうアレックス。


(“ほっぺがおちそう”というのはこういう事をいうのだろうか)と、最初怪訝そうな表情をしていたアレックスとメリンダの態度が一変して、今はふたり揃ってタックのお手製のカレーライスを美味しそうに頬張る二人に関心するタックだった。


「これは辛さも事前に調節出来て辛いのが苦手な人には“甘口”、辛いのが大好きな人には“大辛”などいろいろと選べるんだ。」と、説明するタックの言葉に真剣に耳を傾ける調理担当のメリンダに対し、カレーライスの3杯目のお代わりを“カツカレーにしてくれ!”と頬張りながら要求するアレックス。


(さて、王様に献上するのはどれくらいの辛さにするべきだろうか・・)と考えこむタックだった。


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