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味方のために薬を飲みすぎた俺、太る  作者: 勿夏七


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31魔力

「と言うことで、ヴァレリアさんが仲間に加わりました」

「カイルのパーティーで戦士をやっているヴァレリアだ。クラリスとは……まあまあ話す仲だから、何かしら情報を掴めると思うぜ」


 今日は情報共有のために、仲間たちは皆アレンの家に集まっていた。

 ヴァレリアの紹介にまず反応を示したのは、彼女のパーティーメンバーであるミリアだった。

 

「大丈夫? 情報漏らさない?」

「おいおい、この中で1番あたしを見てるはずのあんたがそれを言うのかよ」


 さほど気にしていないヴァレリアは、笑みを浮かべつつミリアの隣に座り、肩に手を回した。

 ミリアはムッとした表情を浮かべたが、振り払うことはせずため息をひとつだけ吐いた。


 向かいのソファに座っていたライルをじっと見つめ、つぶやく。


「一回お前の戦ってる姿を見たんだが、カイルと太刀筋が似てる気がすんだよな」


 ヴァレリアはあれからカイルとライルの共通点を探していた。

 彼女は勘で二人は何かしら関係があると睨んでいたのだ。

 

「……俺とカイルの太刀筋が?」


 ライルは魔法剣士。カイルはただの剣士。

 同じ師匠の下で習えばもちろん似たものとなる。だが、剣の使い方の基礎は親から習うことが多い。

 また、性別や魔力、家柄問わず、剣の使い方だけは誰しも受けるものだ。

 

「……思い当たる節がないわけじゃない。だが、今はその話をする必要はないだろう」


 ライルは表情さえ崩さなかったが、あからさまに嫌そうな雰囲気を醸し出していた。

 それを感じ取ったヴァレリアは目を瞬かせた後、苦く笑った。

 

「ああ、すまん。ただの好奇心だ。……早速だが、あたしが今持っているシャラタンとその周りの話をしておこうか」


 ヴァレリアは、クラリスに「自己回復能力」の話を持ち出された。

 もうすでに習得していることを話すと、彼女はどのような方法かと根掘り葉掘り聞き、最後には「もっと効率的な良い方法がある」として改めて勧誘してきた。


 ヴァレリアは内部事情を探るため、二つ返事で了承し、今は講座案内を待っている状況だ。


「あたしが教えてもらったものは、魔力の引き出しだった。だが、おっさんの講座は魔力消費量を抑える方法みたいだ。正直、あたしにはどちらが効率的かはわからないがな」


 ヴァレリアの話を聞いて、ライルは首を傾げた。


「"もっと効率的"てことは、引き出しよりも効果が出やすいってことか?」

「それなんですけど、私が聞いた話だと何かしら補助アイテムを貰えるらしいですよ」


 リズは「こんな形の」と言い、紙の上にペンを走らせた。

 彼女の描いた絵は黒くて卵形のものだった。

 紐を通せるように穴が空いており、首飾りやカバンにつける用途のようだ。

 サイズ感も手のひらサイズで持ち運びやすいものとなっている。


「魔力が篭ってるアイテムってことか?」

「そうかもしれません。でも、魔力を込めたアイテムなんて、そうそう作れませんよ」


 リズは首を横に振り、信じられないとでも言いたげな表情で言った。

 アレンはリズの描いた絵を眺めながら、以前店で売っていた少量の魔力が付与されている鎧の価格を思い浮かべた。

 ただの鎧なら金貨数枚だが、魔力付与が施された瞬間に、国一つ買えるような値段に跳ね上がることもある。それほどまでに、魔力の定着は高度な技術なのだ。


「シャラタンはお金を持ってそうだが……そうホイホイ渡せる代物でもないよな」


 魔力の篭ったアイテムは、かなり高価な代物だ。

 アレンのように魔力の注入を安定して出来るものしかなし得ない芸当。加えて高い魔力量を持ってしても、注入できるのは本人の魔力の2割程度なのだ。


 誰もが「安い講座で渡すものではない」「何か裏があるかもしれない」「魔力は誰がどのように付与しているのか」などさまざまな疑問を浮かべたが、今ここで話し合っても無意味なこと。

 皆、唸るのみで発言はしなかった。


 そこでアレンがリズの描いた絵を手に取った。


「俺がネネさんにそのアイテムについて聞いてみるよ。彼女は講座を受けているから」

「わかった。一旦アイテムについてはアレンに任せよう。じゃあ、今度は俺が話すぜ」


 ライルは一枚の紙を取り出した。


「俺は魔力を失った元罪人と話してきた。そいつは、非公式ヒーラーから講座を受講しないかと持ちかけられたらしい」


 元罪人は更生して働くために、何か能力を身につけたいとギルドへと申請。しかし、罪を犯したことがあったため、なかなか審査が通らない。

 諦めかけていたところで、話しかけられた。


 契約書も読まず即答して、契約を結んだ。

 早速シャラタンのいる家まで行くと、質疑応答があった。

 できるだけ自然体で、嘘をつかないように努めた罪人。質疑応答を終えた後、機械に手を当てるよう言われ素直に従った。

 その瞬間、まるで血液を根こそぎ吸われているような感覚に襲われ気を失ってしまった。


 目が覚めると、ベッドの上。

 シャラタンは無表情のまま「残念ですが、あなたには適性がありませんでした」と言われ、家に帰された。


「――で、次の日、その元罪人は魔力がなくなっていた、と」


 「他にもいるぞ」と魔力がなくなった人々の証言が載った紙をライルは指差した。


「それと、シャラタンに抗議に行ったやつの中で"質疑応答の答えが悪く、神に見捨てられたのでしょう"と言われている奴もいる。病院に行っても、魔力がなくなってること以外、何もわからない」


 シャラタンは黒だろうと誰もが思っているが、決定的証拠はない。


「俺が協力を――」

「カイルに私が話を聞いてみるのは?」


 アレンがシャラタンへ協力すると提案しようとしたところ、ミリアは面倒くさそうに言葉を被せた。


「正直、私はあのおじさんが悪党だろうがなんだろうが知ったこっちゃないけど、あいつ(カイル)には色々聞きたいことあるしね」


 ミリアは落ち着いた声色でそう口にしたが、顔には苛立ちが浮かび上がっていた。

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