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小さな妖精の恋の詩  作者: まるねこ


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4/13

4ドレスってきれい

 クスターさんは銀のトレーに私の食事をちょこんと乗せてやってきた。


 昨日、レノンが妖精の店で買った食器だ! 


 この食器はマノノが可愛いって言っていたものだ。選んだ食器には美味しそうなパンと果実水が乗せられていた。


「うわぁ! レノン、これっ!」


 私は嬉しくなってレノンの顔を見ると、レノンもクスターさんも笑顔だ。


「マノノ様が可愛いと言っていた食器です。今はこの一組しかありませんので、この後、街に出てマノノ様にあった食器を買って揃えておきます」

「ありがとう! 嬉しい! この食器で十分だよ!」


 私はパンと果実水をお腹いっぱい食べた後、窓際の日当たりの良い場所に座った。


 そのすぐ傍で小さな家具たちがレノンの手によって配置されていく。ソファはレノンの手作りのもののようだ。座面の部分はレノンのお母さんが作ったらしい。クローゼットに机、トルソーなんかも置いてある。


「マノノ様のドレスは今、侍女たちが作っていて、そろそろでき上がるころだと思いますよ」

「ドレス? マノノのドレス? 嬉しい!」


 どうやら私が眠りについている間に、私のサイズの合ったドレスを作ってくれているみたい。


 昨日レノンが選んでくれたドレスはとっても可愛かったの。それだけでも私は満足なんだけどね!


 どんなドレスができるのかな。


 私はいつも聖樹の葉で作った服なのだけれど、妖精の中には人間に作ってもらった服を着ている人がいるわ。


 ちょっとだけ羨ましいと思っていたの。


 私は嬉しくなって鼻歌を歌いながら果実水を飲んで侍女がくるのを待った。


 どんなドレスなんだろう。

 レースが付いているのかな?


 ワクワクが止ティーラなくて踊りだしたくなっちゃう。


「レノン、どんなドレスかな」

「侍女たちが可愛いドレスを作ってくれていると思いますよ」


 レノンは私の気持ちを察してかふっと笑みを浮かべ、従者にでき上がっているドレスがあれば持ってくるように伝えてくれた。


 すると、すぐに侍女さんが箱を抱えてレノンの部屋にやってきた。


「マノノ様、お待たせしてすみません。時間のある者たちで作っていたのですが、楽しくなってしまって……」


 侍女さんはそう言いながら私の前に箱を持ってきて開けてくれた。


 どうやらこの侍女さんははっきりと私の姿を見ることが出来なくても、ぼんやりと存在はわかるみたい。


「うわぁ! すごい! これ、マノノの?」

「はい。マノノ様のために作らせていただきました」

「レノン、すごいよっ! 可愛い! レースがいっぱい付いてて、こっちは帽子もある! どう?」


 私は帽子を被ってくるりと回ってみせた。


「マノノ様、とてもお似合いですよ」

「ドレスを着てみてもいい? レノン、あっち向いてて」

「わかりました」


 私は着かたが分からないのではじめは侍女に手伝ってもらいながらドレスを着てみた。


 薄いピンク色のドレスに白色のレースがたくさん付いている。


 私の髪の色と同じだ! 花の妖精みたい!


「どう? 似合う? レノン見て見て~」

「マノノ様、とても可愛いですよ」

「侍女さん、マノノ、褒められたよ! 侍女さん、マノノにドレスを作ってくれてありがとう」

「いえ、こちらの方こそ楽しく作らせていただきました。ドレスはこのクローゼットに片付けておきますね」

「うん!」

「マノノ様が着ていた葉っぱの服はどうされますか?」

「その服もクローゼットに入れててほしいの」

「畏まりました」


 侍女はドレスを仕舞ってくれている。

 私はドレスを着たままソファに座り、鼻歌を歌いはじめた。


 その様子をレノンは優しい顔で見つめている。レノンが笑顔になっていると、なんだか私も嬉しい。


 しばらく鼻歌を楽しんでいると、部屋の扉がノックされた。


「お坊ちゃま、アリーサ様は熱があるため、本日の中庭で一緒にお茶をするのはお休みするそうです」


 クスターさんが部屋に入ってきてレノンにそう伝えた。


「……わかった。母さんの体調は変わらず、か」


 レノンはとても悲しそうな表情になっている。もしかして今日はレノンのお母さんと会う予定だったのかな? 


「レノン、大丈夫?」

「マノノ様……。すみません。本当なら午後からマノノ様に母を紹介しようと思っていたのですが、母の体調が悪くて」

「そっか。じゃあ先にレノンが元気になってレノンのお母さんを喜ばせる方がいいね」

「また私を治療していただけるのですか?」

「もちろん! レノンが元気だとマノノも元気になるから」


 それはきっと私とレノンの間に繋がりができたから。レノンが元気だと私も元気になるし、レノンが喜ぶと私も嬉しい。


「レノン、ベッドに横になって」

「わかりました」


 レノンは昨日のようにベッドに横になり、私は彼の胸の上にふわりと乗った。私は鈴を付け、ふうと息を吐いた後、集中する。


 ―チリン。


「くるり、くるり、あしきもの、かろやかなおどりとともにうきあがれ、くるり、くるり」


 鈴の音が黒い靄を散らしていく。


 どうかレノンが元気になりますように。

 どうかレノンの願いが聖樹に伝わりますように。


 ―チリン。


 私は祈りを込め、ゆっくりと彼の胸の上でステップを踏んだ。


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