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小さな妖精の恋の詩  作者: まるねこ


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21 レノンのお母さんの話

 今日もレノンは学院へ行った後、私は一人でお人形と踊って時間を潰していると、クスターさんが部屋に入ってきて、私に話しかけてきた。


「マノノ様、奥様の治療をお願いしてもよろしいでしょうか?」

「そうだね! 最近、レノンが忙しくて時間がなかったもんね!」

「ありがとうございます」


 私は人形を自分のベッドに寝かせた後、クスターさんの肩に乗ってレノンのお母さんの部屋へと向かった。


 私が踊ってからレノンのお母さんは日に日に元気を取り戻している。


 レノンの話では医者から薬を減らしてもいいと言われたのだとか。


 それと私が毎日レノンのお母さんの病気を治しにいかないのは理由があるの。


 毎日踊れば病気はすぐによくなると思うんだけど、身体に負担がかかるの。


 私がもっと上手に治せるなら負担をかけずにぱっと治しちゃうんだけどね。


 色々な絡みも考えた上で日を置いて少しずつ病気を治していくのがいいと思うの。




 そうこうしているうちにレノンのお母さんのお部屋へとやってきた。


「レノンのお母さん、きたよー」

「マノノ様。良いのですか?」

「うん。レノンのお母さんの体調はどう? 無理してない?」


「私は以前に比べると体がとても軽くなっているのがわかります。侍女にはまだ無理しないようにいつも止められているし、しっかり治るまでは無理はしません」

「うん! じゃあ、ベッドに横になってちょうだいっ」


 私の言葉にレノンのお母さんは微笑み、ゆっくりとベッドに横になった。


「くるり、くるり、あしきもの、かろやかなおどりとともにうきあがれ、くるり、くるり。マノノのこえがきこえたら、かろやかなかぜがかげをはこびさる、くるり、くるりとおどれ、まわれ」


 いつものように踊り、黒い靄を取り払っていく。


「レノンのお母さん、終わったよー」


 私はふわりと浮かんでクスターさんの肩に乗った。


 レノンのお母さんはゆっくりと起き上がり、深く息をし、身体を動かして確認している。


「マノノ様、いつもありがとうございます。また少し身体が軽くなっています」

「よかった!」


 私はふわりと浮いてレノンのお母さんの顔を見る。


 レノンのお母さんは血の巡りが良くなっているみたいで赤みが射している。


 ちゃんと良くなっているね!


「マノノ様、なんとお礼を申し上げればよいのやら」

「マノノはレノンのお願いで治しているだけだし、気にしなくてもいいの」


「いえ、そういうわけにはいきません。病弱だったレノンもすっかり元気になっていますもの」

「レノン、元気になったねー。マノノも嬉しい」


 私はそう言ってふわふわと窓際の光が射す方向へ飛んでいき、外を眺める。


「レノンまだ帰ってこないかなあ」


 するとレノンのお母さんがソファへと座り私を呼んだ。


「マノノ様、こちらでお茶を飲みませんか? お菓子もありますよ」

「お菓子、食べる!」


 レノンのお母さんがクスターさんに指示をすると、予め用意していたのかすぐに薫り高いお茶とお皿に乗った果物の入ったパウンドケーキが運ばれてきた。


「うわぁ! いい香り。このお茶はお日様のような元気のでるお茶だね。マノノ、このお茶、好き!」

「気に入ってもらったようで嬉しいです。これは隣国の地方で採れる茶葉を使用しているんです。この茶葉は職人が一つ一つ丁寧に育てられていて妖精が力を貸してくれているんじゃないかという話ですわ」


「そうかも。きっとその職人さんは神様に一流の職人になれるように願ったんだろうね」

「マノノ様にはわかるのですか?」

「んー。なんとなく? 妖精が好きそうな味がするもん」


「そうなのですね。このケーキもどうですか? 今、王都で流行っているというケーキらしくて。最近この街にも職人がやってきてお店を出したそうなんです」

「上に乗っているふわふわの白いクリームが甘くてとっても美味しいね。ドライフルーツも洋酒漬けになっていてとっても美味しい」


 私は夢中でケーキを食べ進めていると、レノンのお母さんは優しく微笑んでいた。


 その笑顔はやっぱりレノンと似ている。


「マノノ様は我が家に来るまでは聖樹に住んでいたのですよね?」

「うん、そうだよー」

「聖樹で暮らしている時はどのようにして過ごしていたのですか?」


 私はクリームを口いっぱいに頬張りながら答える。


「えっとね、みんなと一緒に歌を歌ったり、踊ったり、楽器を奏でたりして過ごしていたの」

「聖樹に住んでいる妖精はたくさんいるのですか?」

「うん! いーっぱいいるよ!」


「みんなマノノ様みたいな可愛い妖精なのかしら」

「いろんな妖精がいるの。マノノみたいな妖精もいるし、大きな妖精も猫みたいな妖精だっているんだよー」

「そうなんですね。本に描かれている妖精はマノノ様のような姿をしているので羽根が生えた小さな人間のようなイメージを持っていました」


「マノノみたいな姿の妖精は多いよ! 人間の前に姿を見せるのも私のような姿をした妖精だよ。大きな妖精や動物の姿をした妖精は役割が違うから見ることはないの」


 人間の姿に近い妖精は話すこともできるし、人間と意思疎通が取りやすい。


 獣や植物に近い姿の妖精は自然や動物に関与することが多いため、コミュニケーションの手段が違う。

 そのため人間の前に姿を現すことはほとんどない。


 妖精同士は思念で会話することができるので問題ないの。


 レノンのお母さんは妖精について興味深そうに聞いている。


 私は疑問をレノンのお母さんにぶつけてみた。


「レノンのお母さん、昔から妖精はいるのにどうして聞くの?」


 妖精を見れなくなった人は多くなったけれど、こうして見える人もまだいる。本にはたくさん書かれていそうなんだけどなぁ。


「それは、妖精という存在は私たちにとって身近な存在過ぎたのかもしれません。身近すぎて本にすることもなかったのだと思うのです。私たちが妖精の姿を見られなくなったのはここ数十年で増えたようですし……」

「ふうん」


 見えなくなる理由はいろいろある。


 レノンのお母さんが言っているようにそのうち文明も今以上に発展していけば妖精の姿を見る人間はもっと減るのかもしれない。


 悲しいことね。


 その後もレノンのお母さんとお茶を飲みながら話をして時間を過ごした。


「レノン、そろそろ帰ってくる。マノノそろそろお部屋に戻るね!」

「そうですね。レノンもマノノ様に会いたくて急いで帰ってくる頃ですわね。マノノ様、今日はありがとうございました」


 私がそう言ってクスターさんの肩に乗ろうとした時、一人の侍女さんが私の前に出た。


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