18 聖樹の祝い
私は部屋に戻ってしばらく一人で遊んでいると、レノンは学院から戻ってきたみたい。
私はすぐにレノンを迎えに飛んでいく。
「レノンおかえりー」
「マノノ様、ただいま戻りました」
「クスター、あとで木の板をいくつか用意してほしい」
「畏まりました」
玄関ホールまで迎えに行った私はレノンの肩に乗り、お人形と一緒にお茶をした話やひなたぼっこをして遊んでいた話をしながら部屋に戻った。
「レノン坊ちゃん、木の板を準備しました」
クスターさんがいくつかの木の板を持って部屋にやってきた。
「クスター、ありがとう」
「マノノ様の家具ですか? 妖精の店で買われてもよいと思いますが」
「ああ、マノノ様のクローゼットがいっぱいなんだ。そろそろ増やそうかと思って。マノノ様は私が作った家具を喜んでいるからね。それにあのソファももっと座りやすいものに変えたい」
「畏まりました。マノノ様に似合うソファ用の布も用意しておきます」
「ああ、助かるよ」
「どんなものができるのかなぁ。マノノ、たのしみ!」
クスターさんとレノンはどういった物を作るのか昨日レノンが書いていた紙をもとに話し合っている。
そして木を削り、ナイフで形を整えていく。
最初は四角い板を張り合わせただけのクローゼットが、ヤスリをかけ、だんだんと丸みを帯びてくる。
「そういえば、マノノ様。明日は聖樹の祝いの日ですが、一緒に行きますか?」
「いくいくー! マノノお祭り見て見たい」
レノンの言葉に立ち上がってくるりと宙を舞った。
聖樹の祝いとは年に一回人間たちが聖樹に祈りを捧げ、聖樹に感謝を伝える日とされている。
この時ばかりはたくさんの人たちが聖樹に押し寄せ、様々な願いを残していく。
人々が集まるこの日にはいつもより多く露店も出ていて街全体が賑やかなお祭りになる。
広場では人々が楽器に合わせて歌ったり、踊ったりしている様子を私たちはいつも木の上から眺めているだけなの。
みんなが楽しそうにしているお祭りを近くで見れると思うと、今から嬉しくてしかたがない。
「マノノ、ずっと木の上から見るだけで羨ましかったんだ。楽しみ!」
「私もお祭りに行くのは久々なので楽しみです」
レノンがヤスリをかけながら話をしている横で私は明日に着ていく服を選び始めた。
「何が良いかなー。このピンクの服がいいよね。でもこの黄色も可愛いし……」
「マノノ様はどれを着ても可愛いですよ」
「えへへ」
その後、私は鼻歌交じりにレノンの作る家具を眺めて時間を過ごした。
――翌日。
空は晴れ渡り、心地よい風も吹いてお祭りにはもってこいの日よね!
私は朝からいそいそと洋服を着て、侍女さんに髪の毛を結ってもらい、朝からお祭りへ行く準備をしたの。
レノンの準備もばっちりよ。
「レノン様、マノノ様いってらっしゃいませ」
私たちはクスターさんたちに見送られて馬車に乗り込んだ。
普段なら聖樹のある神殿の前まで馬車でいくのだけれど、今日はお祭りということで人通りも多くて少し手前の場所で降りることになった。
「レノン、人がいっぱいだね」
「マノノ様、私の胸ポケットに入っていた方がよさそうですね。この人の多さで肩だと落ちてしまいます」
「うん、そうだね。今レノンと離れたら迷子になっちゃう」
私はレノンの胸ポケットに入り、行き交う人たちを眺めることにした。みんな楽しそう。
いつもお祭りならいいのに。賑やかな人たちの声と共に風に乗っていろんな香りがしている。
「レノン、いい匂いがする!」
「あっちで肉を焼いていますね。神殿に行った後、食べてみますか?」
「うん! マノノ、食べてみたい!」
私たちは人の流れに乗って神殿に到着した。
この日ばかりはとっても人が多くて、聖樹の前に行くのにも時間が掛かっている。




