12レノン視点2
悩んだ末…恋愛カテゴリーに移動しました。
ポイントはリセットになると思うのでカクヨムGAコンテストは…諦めます(ノД`)シクシク
そうしてマノノ様は母の治療に入った。
私の時と違ってステップもより複雑で慎重に踊っているように見える。額に汗を掻いているマノノ様の姿を見ていると、やはり母の病は相当に重いようだ。
これから何度となく治療が必要なのだと言う。
でも治療が終わった後の母の顔色は幾分、明るくなった。母はマノノ様を気に入って毎日会いたいようだが、父が心配しすぎて止めている状態だ。
母の体調や私の喘息が良くなったことで、気落ちしていた父も元気になってきている。
私は父がマノノ様に興味がないのだと思っていたのだが、クスターの話ではマノノ様の姿を見られないことをとても残念がっているらしい。
ある日、私はいつも部屋の中にいるマノノ様の気分転換ができるように森に誘った。
彼女はふわふわと宙を描きながら飛び、とても喜んでいる。
誘ってよかった。
森に着いて護衛と剣の練習を始めた途端に一匹の血だらけの狼がマノノ様の前に現れた。私は横目で見ていると、マノノ様は怪我をしている狼に治療を行っている。
狼はマノノ様に感謝しているようで治療が終わると、ぺろぺろとマノノ様を舐めている。だが、次の瞬間マノノ様を連れ去ってしまった。
慌てて後を追うけれど、狼は素早くすぐに見失ってしまった。
「レノン様、これ以上森の中に進むのはよくありません。我々が遭難してしまいます」
護衛の言うことは最もだ。大きな声でマノノ様を呼ぶしか今の私には術がない。大人数でマノノ様の捜索に入ったところでマノノ様の姿を見れない者がほとんどだ。
悔しいが、しばらく待ってだめなら一旦邸に戻り、装備を整えた上で私自身が森へ入るしかない。
森の入り口付近を行ったり来たりしながらマノノ様を呼ぶ。
時間も経ち、そろそろ邸に戻らないといけない時間になった。
絶望の中、最後に私はマノノ様の名を森に向かって叫んだ。
……微かに何か聞こえた。
「レノンー」
マノノ様の声だ。
彼女は涙を目に溜めながら私の名を呼び、私の元へ帰ってきた。私は一生懸命羽根を動かし、戻ってきたマノノ様を優しく抱き留めた。
……良かった。
マノノ様は狼に連れていかれた後のことを馬車の中で夢中になって話していたけれど、疲れていたのかウトウトとし始めて寝てしまった。
自室に戻ってそっと彼女を窓際のベッドへと寝かせる。
「レノン様――」
「シッ。マノノ様が寝ているから。話は隣の部屋で聞くよ」
私はクスターと隣の部屋で話をした。
マノノ様は疲れているから今日はもう起きないかもしれない。明日はマノノ様と何をしようか。軽くなった体で可愛いマノノ様とこの先も一緒にいろんなところへ行ってみたい。
そう思っていたのに……。
翌朝、マノノ様は顔を真っ赤にして起きてきた。
人間の子供なら疲れて熱が出たのだろうと思うけれど、マノノ様は妖精だ。もしかして重大な病気が隠れているかもしれない。
母のように突然倒れてしまったらどうしよう。私は不安でマノノ様の傍から離れ難い。
一生懸命に私を慕ってくれているマノノ様。早く元気になってほしい。
クスターに医者を連れてくるように指示を出した。運よく、今日は母の診察があって邸を訪れていた医者がマノノ様を見てくれることになった。
医者も妖精を見るのは初めてだと喜んでいたけれど、彼にはマノノ様の姿を見ることは叶わなかった。
マノノ様の姿を見ることができるのは限られた人なんだと改めて感じる。
それは嬉しくもあり、不安でもある。森で連れ去られた時やこうして何かあった時にマノノ様を助けることができないからだ。
医者は残念そうにしながら部屋を後にした。
部屋に残された私とマノノ様。目を覚ましても相変わらず体調は悪いままだ。
マノノ様に聞いてみたけれど、他の妖精は消えると言っていた。
マノノ様が消える……。
私は言葉に詰まった。
どうしよう。一人で悩んでいても堂々巡りをするだけだ。
マノノ様は眠りについたし、父に相談してみようと思い、そっと部屋を出た。
「父さん、ちょっと相談があるんだ」
「どうした、レノン」
そう言いながら私は父にマノノ様が熱を上げて今寝ていることを告げた。父は先にクスターから報告を受けていたようだ。
父とクスターを交えてマノノ様の病気について話し合い、マノノ様は聖樹の妖精だから神殿の神父に聞いた方が良いのではないかという結論に至った。
我が家から神殿に知らせを出すと、神殿からすぐに先触れが届いた。どうやら神官がマノノ様の具合を診てくれるそうだ。
その知らせを聞いて私はホッと胸を撫でおろす。
きっと神官ならマノノ様を助けてくれるだろう。
マノノ様、早く良くなって欲しい。それが今の私の願いだ。




