2話 【 50回目のクビ 】
「オイ間抜け!! お前何度言えば分かるんだ!」
怒鳴り上げる男の声に僕は驚いて思わず「ハイッ?!」と高い声で返事をする。
「な、何か間違っていたでしょうか?」
「何か間違っていたでしょうか? じゃねぇ!!」
僕の返答に男は苛立ちを我慢しきれずに拳を握り殴りかかろうとするが、男の隣にいた仲間の2人に止められる。
「おいやめろってこんな所で!」
「離せ!! 悪いのは全部この間抜け野郎のせいだよ! てめぇらもそう思うだろうが!!」
男の同意に仲間達も僕を見て呆れたように溜息を吐く。
「さっきからずっとモンスターとの戦闘で隠れやがって! てめぇそれでも冒険者か!!」
「え? えぇまぁ。 一応ギルドにもこの通り冒険者証も頂いていますし。 一緒にパーティ組む時にお見せしませんでしたっけ?」
「~~~~~~~~ッ?!?!」
僕はまた何か間違ったのか、男の顔はみるみると顔を赤くしていき地獄にいた赤鬼と同じ顔になっている。
「テメェーー! もう許さねぇぇええ! 俺がこの場でテメェを殺してモンスター共の餌にしてやるっ!!」
男は自慢の大剣を振り回して僕を切り刻もうと躍起になって襲い掛かってくる。
周りにいた仲間達も男の取り乱し方に仲裁へ入る事が出来ないのか困ったような表情で僕が一方的に襲われる状況を見ているだけだった。
それから10分後。
男は逃げるだけで反撃する様子を見せない僕に諦めたのか息を切らしながら自慢の大剣を地面に刺してその場に座り込む。
「あ、あの~・・・大丈夫ですか?」
「ウルセェ!! 近づいてくんな! この腰抜け!!」
男は仲間の1人に「回復魔法!」と怒鳴りながら指示を出すと、仲間は男に魔法を付与する。
疲れた体力がみるみると回復していき、肩を揺らして息をしていた男はあっと言う間に体力を全快にした。
「おい腰抜け!」
男は全快するやすぐに僕を睨みつけながら怒鳴る。
「テメェはクビだ。」
「・・・・・・はい?」
数秒の間をおいて、僕は気の抜けた声が出た。
「もうダメだ。 テメェがいるとパーティーの士気に関わる! 今この瞬間を持ってお前を俺のパーティから除隊してもらう!!」
この時、この瞬間で、僕は冒険者になって50回目にも及ぶクビ宣言を受けたのであった。
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