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3 バーサーカーには関わりたくなかった。


 グゥゥゥゥゥ~・・・。


 大きなお腹の虫が鳴り、僕は溜息を吐いてギルドにあるクエストボードとかれこれ1時間近く睨めっこをしている。

 その理由はFランク冒険者が1人でも行えるクエストがないかずっと探しているからだ。


 「いや、正確には沢山クエストはあるのだが、どれも朝飯さえ買う事の出来ないショボいクエストしかない。」


 薬草採取や武器製造に使用する原石などの採取であればモンスターが出現しない場所で集められる為1人でもギルドから探索の許可を得られる。

 しかし、どれもやろうと思えば子供出来る超簡単なクエストである為、薬草を例えば1キロ集められてもジュース1本分の報酬しか得られないだ。

 

 グゥゥゥゥゥ~・・・。


 再びお腹の虫が鳴り、腹を擦りながら再び溜息を吐く。

 先日、ついに冒険者となって半年と満たない期間で50回目のパーティー除隊、いわばクビになってしまった。

 その為、手持ちの金も少なくこうしてひもじい状態となっている。


 「天界ではいくらでも食べ物なんて有り余っていたのに、人間っていうのは食べたければお金を稼がないとご飯も食べられないとは、こんな制度のある世界滅んでも仕方ないと思うな~。」


 僕は何を隠そう前世では人々に神として崇められあらゆる世界を管理していた偉~い人物なのだ。

 そんな神である僕が何故、人間に転生したのかというと別の世界の人間を異世界へ召喚、または転生させて世界の危機を救わせる方法があるのだが、そんな事せずとも神直々に人間に転生して世界救えばいいんじゃね? 

 っという経緯からこうして人間に転生したのだが、僕はどうやら人間の中でも役立たずと呼ばれる名称を与えられるほどダメ人間らしく、世界を救う所が自分の身1つ守る事も出来ない状態なのだ。

 魔法も初級を扱うのも難しく、体術や剣術も子供に負けるほど弱い。

 つまり、冒険者としての素質がまったくもって 0 なのである。

 ・・・僕、一応神なんだけどな~。


 「だぁ~から! 私を仲間に入れてくれるパーティーを紹介してほしいって言ってるじゃない!」


 バンッ!

 ギルド受付所から机を力一杯に叩く音が店内に響き渡ると同時に女性の怒鳴り声が聞こえる。

 振り返ってみるとギルド受付員に冒険者の女性が何かを訴えているようだ。


 「そ、そう言われましても冒険者様。 貴女様からのフレンド招待に対して誰も了承を得られる方がおらず私達従業員と致しましても紹介できるパーティが現在募集中ですので・・。」

 「それはそっちの事情でしょ?! 私はちゃんと募集期限もつけて待ってたのに1人も紹介出来ないってどういう事?!」


 女性冒険者は受付員と話をすればするほどヒートアップしていき受付の奥から従業員が止めに入っていく。

 そんなギルド内で注目を集める状況の中、隣で別の冒険者同士が彼女について喋っているのが聞こええた。


 「おい見ろよアレ。 『バーサーカー』だぜ。」

 「うぉ、マジだ。 あんまり関わりたくねぇな。 行こうぜ。」


 冒険者達が会話していた内容で出た『バーサーカー』という単語に聞き覚えがある。

 バーサーカー。

 そう呼ばれる冒険者は名称の通り狂暴という意味を持つ。

 モンスターや同業者など気にもせず身近にいる生き物を敵として捕らえて暴れる冒険者。

 今も尚従業員総出で止められている彼女が呼ばれれている呼び名だ。

 しかしどんなモンスターでもその強さを狂暴さで補う為、彼女はAランク冒険者としても有名な存在だ。

 だがやはりどれだけ強くても敵味方関係なく暴れるパーティーなど誰も一緒に同行したくないのも事実。 

 そうと決まれば僕も巻き込まれる前に一度ギルドを出て散歩でもしていこうとクエストボードから離れようとした瞬間、肩を引きちぎられると思うくらいの握力で何かに捕まれた。

 あの、ちょっ・・・い、イタッ。 マジでイッタッ!!


 「ねぇ・・アンタ、今1人でしょ?」


 振り返ってみるとモンスターのような目で僕を見るバーサーカーがそこにいた。

 こ、殺される!


 「いえ。 ちょっと外で知り合いを待たせているので・・・・。」

 「嘘つくんじゃないわよ。 アンタがこの1時間そこから一歩も動かないでクエストボード見てたの知ってんだからね。」


 ひっくい声を僕の耳元でささやきながら、背中に刃物のような物を突き付けられている事に気が付いた。


 「今から私が言う事をその通りにしなさい。 ・・もしも抵抗すればアンタの 『ピー』 を 『ピー』 して 『ピー』 だからね。」

 「い、イエスマム。」


 神として放送禁止用語が炸裂された為、ピー音を遂行させて頂きました・・・。

 僕は彼女の指示通りに目を瞑ってゆっくりと右手をクエストボードに手を付けた。


 「・・・ありがとう!」


 さっきまでの低い声は何処に行ったのか、何処にでもいる普通の女の子の声に変わる。

 一体何の事なのかと思いながら目を開けると、クエストボードに手を付けた僕の手は【クエストランクB 選定の剣】と書かれてあるクエストに押し印されていた。


 「はぁーいこれでパーティー成立! 今日からよろしくね!」


 可愛い仕草で上目遣いをして一見可愛らしくも見えるが、僕は彼女の事を 【デビル】 と呼ぶ事にした。

 

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