1話 【 神様転生 】
―――天界。
ここはありとあらゆる八百万の神々が世界を管理する場所。
神々に人間のような休日という物は存在せず、毎日何かしらの仕事が次から次へと湧き上がっている。
恋愛成就に合格祈願。
他にも人間が神を崇める限り、神々に休日など存在しない。
しかし、休日が存在しないだけで、必ずしもすべての神々が忙しいわけではない。
「ふぁぁぁ・・・暇だな。」
現にこうして、すべての世界を見通す鏡。 神鏡と呼ばれる神器で世界を見ながら寝転がって欠伸をしている僕がここにいる。
「暇だぁぁ。 暇だよぉぉ。 暇すぎで死んじゃうよぉぉ。」
どこの世界にも色々な危機という物は突如として現れるが、神である我々が直接世界の危機を救う事はまずない。
大昔のどの神が決めたのか知らないが、神は世界を救ってはならないと神々のルールで決められてしまっているのだ。
神はあくまでも世界を管理する事が仕事。
世界の危機を救う為に神の力である『神通力』を使用する事は禁忌とされてしまったのだ。
「ハァァァァァ。 刺激が欲しい。 誰か天界を攻めてくる不埒者でも現れないかな・・。」
「何を恐ろしい事を軽く言ってるんですか。 神様。」
ゴロゴロとその辺りを寝転がりながら刺激を求めていると、真っ白な羽を生やして天使の輪を頭の上に浮かばさてる少女が空から飛んできた。
彼女は天使ちゃん。
神には必ず1人仕事の手伝い役として天使の付き人が振り分けられる。
「やぁ天使ちゃん。 今日も変わらず可愛いね。」
「心にもないお世辞ありがとうございます。 それよりも新しい仕事を持ってきたので仕事してください神様。」
「え~・・・。 その仕事って面白い?」
天使ちゃんは呆れた様子で小さく溜息を吐くと指をパチンッと鳴らして1枚の紙を手渡した。
「今回のお仕事はワールドナンバー777.777.777.777.777番、略して【ファイブセブン】にある世界の危機がすぐそこまで迫っているようなので、別の世界からファイブセブン世界へあらゆる能力を与えて転生させるお仕事です。 転生させる世界の人間は神様が決めるようにとも書かれています。」
「あ~~~~~出た。 出たよ無駄な輪廻転生救済!」
内容を読み上げられた仕事を把握して天使ちゃんを中心にゴロゴロと寝転がる。
「なぁ~んで別の世界を救うのに別の世界の人間をわざわざ転生させて世界救わせるわけ? だいたいその魂連れてくるの誰だと思ってんの? 人手不足毎年度歴代1位を誇る死神くん達なんだよ! そこんとこ分かってんの上の神たちは!!」
記憶の中で、骸骨を被った知り合いの死神くんが労働基準型破りの労働を涙を流しながら明け暮れているのを想像して、こっちまで涙を流れてきた。
元気にしてるかな・・死神くん。
「神様の慈悲深いお心に死神様達もさぞお喜びになっているでしょう。 さっ。 仕事してください神様。」
「天使ちゃん天使ちゃん。 君もまったく心のこもっていない事言ってるからね? 我神ぞ? 神眼で一応心の中見えるからね?」
「知ってます。 社交辞令ってやつです。」
わぁー。
常々思ってたけど僕のパートナーの天使ちゃんってものすごく辛辣な子だなぁ~。
「それではファイブセブンを救済できる素質を持つ人間がいる世界を複数の候補を選定してきました。 あとは神様がお選びください。」
「・・・え~。」
選定されたと言っておきながら目の前に持ってこられたプリントは何百億と束ねられており、これでも世界の1割にも満たないのだから嫌気がさす。
ペラペラと最初の数枚だけに目を通すが、その世界の人間の内数千人の名前と人生経歴を見ないといけないとなると何百年かかる事か。
「・・・ッ! そうだ!! いい事考えた!」
僕はさっそく目の前に束ねられ置かれたプリントを消して転生の儀式を始めた。
「え? え? か、神様? 一体何を??」
まだ転生させる人間も決めていないのに儀式を始めた僕に天使ちゃんは目を点にしてみる。
「天使ちゃん! 僕今からちょっと人間に転生して世界救ってくるわ!」
「は、はぁ・・・――――はぁぁぁぁぁああああああああああああ!!?」
長年、パートナーとして一緒に過ごしてきたけど天使ちゃんって天界にいる神々が驚くほどの大声だせたんだね。
「ま、待ってください神様! 神が下界の世界を直接救う事は禁忌となっている事はご存じですよね?!」
「もちろん! だから僕が人間に転生すれば問題ないよね!」
「問題大ありですけど?!」
何言ってるんですかこの神様! って天使ちゃんが呆れた表情を通りこしてバカを見る目をしていたのは少し心が痛いが、転生の儀式はそうこうしている内に完了してしまった。
「ま、なんとかなるでしょ! じゃあちょっと世界救ってくる!」
「そんな近所に遊びに行くような軽い感じで行かないでください! っていうかそもそもやめてください!」
「ごめーん! もう無理!」
「アホーーーーーーーッ!!」
儀式が完了して転生していく神様を罵倒しながら、天使も完了された儀式へと飛び込んだ。
「え?! 天使ちゃん??」
そうして八百万の神である1柱と、付き添いの天使は世界を救う為に人間へと転生したのであった。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
もし少しでも続きが気になって頂ければブックマークと評価のほどよろしくお願い致します!




