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報告
「今回の任務に関する報告です。戦闘報告は、宿合や第二師団からあがってきた資料と合わせてまとめ直しますので、今しばらく時間をいただけますよう。」
「うむ。不測の事態にもかかわらず、よくやってくれた。」
書類に目を通しながら隊長が深くかけ直すと、分厚い牛皮がくつろいだ音を立て、張りつめた紙の臭いを破る。それから何度か頷き、がっしりとした声で唸った。
「上出来だ。頼りがいがある。」
風音の戦果が磨き上げられた黒檀を叩き、さりげなく語りかける。書類を脇に寄せてから、隊長は深みのあるとび色の瞳を風音に戻した。頬を引き締め直し、風音は恭しく首を垂れる。
「出過ぎた真似をしました。」
跪く風音をじっと見つめてから、やがて隊長は静かに立ち上がり、窓から通りを覗いた。遮られた光が、恵まれた体躯を薄闇の中にくっきりと縁取る。
「いや、これが君の本職だよ。そしてそれは、今回の正式な任務でもあった……見事にこなしてくれた。この調子で頑張ってくれ。」
「身に余るお言葉、感謝します。それでは、第二師団からの報告をまとめ直しましょう」
選ばれた猟犬たちの巣が、新たな仲間を迎い入れたのだ。




